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「職場の人間関係がうまくいかないのは、自分の性格に問題があるからかもしれない」

——そんなふうに、一人で抱えていませんか。


最初に、ひとつだけ数字をお伝えさせてください。


ある調査では、30代で職場の人間関係が「良好」と答えた人は、29.8%。およそ3割です(日本労働調査組合「職場の人間関係に関するアンケート」2021年)。


うまくやれている人のほうが、実は少数派なのです。


この記事では、転職もサービスも何ひとつお勧めしません。


その代わり、最新の調査データをもとに、「悩んでいるのはあなただけではない」という事実と、不安の背景にある職場の構造、そして相談相手がいなくても明日から打てる小さな一手を、順番にお話ししていきます。





読み終えたとき、悩みが解決していなくても大丈夫です。


「おかしいのは自分だけじゃなかった」と、少しだけ肩の力が抜けていたら——


十分だと思っています。


職場の人間関係に不安があるのは、30代では「普通」です

30代で職場の人間関係が「良好」な人は29.8%と少数派。退職の本音理由でも人間関係が46%で1位です。

「まわりはみんな、うまくやれているように見える」。


そう感じている方は多いと思います。けれど、データが示しているのは、まったく逆の風景です。順番に見ていきましょう。

退職の「本音」理由1位は人間関係46%——でも誰も会社に言わない

エン・ジャパンが退職経験者を対象に行った「本当の退職理由」調査(2024年)に、印象的な結果があります。

退職するとき、会社に伝えなかった"本当の退職理由"がある人は、半数以上(54%)。

会社に伝えた理由と本音とでは、顔ぶれが大きく入れ替わります。

退職理由 会社に「伝えた」理由として 「本音」の理由として
別の職種にチャレンジしたい 1位(22%) 9位(6%)
人間関係が悪い 上位に入らず 1位(46%)

つまり、多くの人が人間関係に悩みながら、最後までそれを口にせずに会社を去っている、ということです。

「こんなこと、誰にも言えない」と感じているのは、あなた一人ではありません。むしろ、それが多数派の振る舞いなのです。

30代で人間関係が「良好」なのは約3割

冒頭の数字に戻ります。

日本労働調査組合が全国の20〜49歳の会社員520名に行った調査(2021年)では、職場の人間関係が「良好」と答えた人の割合は、年代が上がるにつれて下がっていきます。

  • 20代:38.6%
  • 30代:29.8%
  • 40代:27.7%

ひとつ、正直に補足させてください。残りの約7割すべてが悩んでいる、というわけではありません。

同調査(全体数値)では、「特に気にしていない」という中立な人が38.7%と最も多くを占めています。


一方で、「職場の人間関係に疲れて悩んでいる」(16.5%)と「ストレスを感じている」(12.7%)を合わせた約3割(29.2%)の人たちが、明確に人間関係の負担を抱えていることが分かっています。


それでも、です。「良好」と言い切れる人が3割しかいない。

そして同じ調査で、人間関係を理由に退職・転職を考えたことがある人は58.5%(調査対象全体の数値)にのぼります。

「うまくやれて当たり前」という前提のほうが、現実から離れているのではないでしょうか。

最新調査の数字と、よくある「誤読」

国の最新データも見ておきましょう。

厚生労働省の「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」(2025年公表)では、仕事や職業生活で強いストレスを感じている労働者は68.3%。


ストレスの内容では「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が26.1%でした。


ここで、ひとつ注意したいことがあります。

前年(令和5年)の調査では「強いストレスあり」が82.7%だったため、「ストレスを感じる人が大きく減った」と紹介している記事を見かけることがあります。


けれど、令和6年調査は設問の形式が変更されており、厚生労働省自身が前年との単純比較には留意が必要としています。

つまり「14ポイント改善した」と読むのは誤りで、働く人のストレスが急に軽くなったわけではないのです。


数字は、正確に扱われてこそ意味があります。

このブログでは、出どころと読み方をできるだけ丁寧にお伝えしていきたいと思っています。


不安の原因は、あなたの性格だけではありません

ストレス要因の1位は対人関係(26.1%)ではなく「仕事の量」(43.2%)。背景には職場の構造要因があります。

人間関係に悩むと、私たちはつい「自分のコミュニケーション能力が低いからだ」「性格に問題があるからだ」と、原因を自分の内側に探してしまいます。

けれど、データは少し違う場所を指しています。

人手不足→業務過多→摩擦、という順番

先ほどの令和6年労働安全衛生調査で、ストレスの内容として最も多かったのは、実は対人関係ではありませんでした。

上位は次の順番です。

  • 1位:仕事の量(43.2%)
  • 2位:仕事の失敗、責任の発生等(36.2%)
  • 3位:仕事の質(26.4%)
  • 4位:対人関係(26.1%)

この順番は、多くの職場で起きていることを映しているように思います。

人が足りない。一人あたりの業務が増える。余裕がなくなる。

すると、普段なら笑って流せた一言にイラッとしたり、頼みごとの語気が強くなったり——摩擦が生まれやすくなります。


つまり、人間関係の悪化は「結果」として表れているだけで、出発点には職場の構造的な余裕のなさがある、というケースが少なくないのです。


もちろんすべてがそうだとは言いません。


けれど、「自分の性格のせい」と一人で背負い込む前に、職場全体に余裕があるかどうかを、一度引いた目で眺めてみる価値はあると思います。

異動・組織改編のあとに不安が強まるのは当然

もうひとつ、知っておいていただきたいデータがあります。

SMBCコンサルティングの「2026年職場の環境変化とストレス・パフォーマンスに関する調査」(2026年SMBCビジネスセミナー「みんなの研修」調べ)では、異動や組織改編といった職場の環境変化にともなって感じる不安の第1位が「人間関係」(33.2%)でした。

さらに、環境変化のあとの3か月間に何らかの身体の不調を感じた人は68.6%、疲労感の増加を感じた人は33.6%にのぼります。

4月に上司やメンバーの顔ぶれが変わって、2〜3か月経ったのにまだ疲れが抜けない——。

もし今そういう状態だとしたら、それは適応の途中で誰にでも起こりうる反応であって、あなたが特別に弱いからではありません。

新しい関係に慣れるには、思っている以上に心身のエネルギーが要るのです。

「いい人」をやめられないのにも、理由がある

頼まれたら断れない。理不尽なことも、つい笑顔で受け流してしまう。


そして帰り道に、どっと疲れが押し寄せる——そんな「いい人」のポジションが定着してしまっている方も、いらっしゃるかもしれません。


心理学には「過剰適応」という概念があります。環境の要求に自分を合わせすぎて、心身が消耗してしまう状態のことです。


また、自分と他者の責任や感情の線引きは「バウンダリー(境界線)」と呼ばれます。

なお、世間で言われる「いい人症候群」や「ピープルプリーザー」は学術的な診断名ではありませんので、ラベルとして自分に貼りつける必要はありません。

ここでお伝えしたいのは、ひとつだけです。

断れないのは、性格の欠陥ではなく、「断ったらこの場所での立場を失うかもしれない」という不安への、ごく自然な防衛反応だということ。

職場という逃げ場の少ない環境で、関係を壊さないように振る舞うのは、むしろ適応しようと頑張ってきた証です。

ただ、その頑張り方が、あなた一人をすり減らす形になっているなら——少しだけ、やり方を変える余地があります。それは後半でお話しします。


「相談できる相手がいない」のも、珍しいことではありません

調査では30〜40代男性は相談相手が少ない傾向が確認されています。相談できないのは恥でも例外でもありません。

人間関係の悩みについて検索すると、たいてい「信頼できる人に相談しましょう」という結論にたどり着きます。

それができたら苦労しない——そう感じて、そっとページを閉じた経験はないでしょうか。この章は、そういう方のために書いています。

データが示す30〜40代男性の孤立

築地本願寺が2025年3月に実施した「不安に関する意識調査」(全国18〜69歳の男女1,400人対象)では、深刻な不安や悩みを抱えている人は全体の32.3%。

そのなかで、30〜40代の男性は、不安を感じながらも「頼れる人が周囲に少ない」という傾向が見られました。

考えてみれば、自然なことかもしれません。

30代は、学生時代の友人とは生活がすれ違い、職場の同僚は悩みの当事者側にいて話しにくく、家族には心配をかけたくない。

相談相手がいないのは、人望がないからでも、人付き合いを怠ってきたからでもなく、この年代の生活構造そのものが生む状態なのだと思います。

「相談しよう」というアドバイスが効かない人のために

だからこそ、この記事では「誰かに相談しましょう」を結論にしません。

相談は、できる人にとっては有効な手段です。

実際、令和6年労働安全衛生調査でも、強いストレスを感じる人の相談相手は「家族・友人」(68.6%)、「上司」(65.7%)が上位でした。

けれど、それは「相談できる相手がいる人」の話です。いない人に向かって「つくりましょう」と言うのは、解決策の押しつけになってしまいます。

相談相手がいない状態でも、打てる手はあります。

それが次の章でお話しする、「一言の保留」と「会社の外の小さな軸足」です。相談は、数ある選択肢のひとつにすぎません。

それでも知っておきたい、公的な窓口

そのうえで、ひとつだけ知識として持っておいていただきたいことがあります。

2022年4月から、パワーハラスメント防止のための相談体制の整備が、中小企業を含むすべての企業に義務づけられています。

また、社内に相談しづらい場合でも、各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)や、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」といった公的な窓口があります。

「ハラスメントとまでは言えないから」とためらう必要はありません。

職場の悩みの多くは「違法ではないけれど、つらい」というグレーゾーンにあるとも言われ、窓口はそうした相談も受け付けています。

使うかどうかは別として、「いざとなれば外に窓口がある」と知っているだけで、心の余白は少し変わるものです。

なお、ハラスメントに該当するかどうかの判断や具体的な対応は、法律の専門領域です。

個別のケースについては、社会保険労務士や弁護士など専門家への確認をおすすめします。この記事は、窓口の存在をご紹介するにとどめます。


明日からできる小さな一手と、「会社の外の軸足」

まず即答を保留する一言から。会社の外に小さな居場所を持つと、悩みは消えなくても選択権が増えます。

ここまで、データの話を続けてきました。

最後に、明日からできることを——ただし、たくさんは挙げません。

小さな一手をひとつだけ、それから、少し長い目で見た「軸足」の話をします。

反射の「はい」をやめて、一言だけ保留する

断れない方に「断りましょう」とは言いません。断るのは、難易度が高すぎるからです。

代わりに提案したいのは、保留です。

頼まれた瞬間に反射的に「はい、やります」と答える前に、

「少し確認させてください。今日の夕方までにお返事しますね」

と、一言だけ挟む。引き受けるかどうかの結論は、変わらなくても構いません。

それでも、この一言には意味があります。

「頼んだら即座に引き受けてくれる人」から、「頼んだら検討してくれる人」へ。周囲のあなたへの認識が、ほんの少しだけ変わります。


何より、自分の時間と仕事量について考える数時間を、自分の手に取り戻せます。

断る練習ではなく、考える間をつくる練習——まずは、そこからで十分だと思うのです。

30代の半数が選んでいる「期待を下げる」戦略と、第三の道

マイナビの「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」によると、やりがいや昇進を求めず、決められた仕事だけを淡々とこなす「静かな退職」を実践している30代は49.1%——ほぼ半数です。

そして実践者の73.7%が「続けたい」と答えています。

職場への期待値を下げて、消耗を避ける。それは現実的な適応戦略で、私はこれを否定しません。

一方で、「期待を下げて耐える」だけだと、職場が自分の世界のすべてであることは変わらず、人間関係の重さも変わらない、という側面があります。

そこで考えてみたいのが、第三の道です。

会社に期待しすぎず、かといって諦めて耐えるだけでもなく、会社の外に小さな軸足をひとつ持つこと。

趣味のコミュニティでも、学びの場でも、副業でも、形は何でも構いません。

会社の外の居場所は、悩みを「消す」のではなく「選択権を増やす」

ここは、誇張せずにお伝えしたいところです。


会社の外に居場所を持っても、職場の人間関係の悩みが消えるわけではありません。

仮に独立や転職をしても、顧客や取引先など、対人関係そのものは形を変えて残ります。「会社を出れば自由になれる」という言い方は、残念ながら正確ではないのです。

それでも、外に軸足があると、確かに変わるものがあります。それは選択権です。

「この職場の評価がすべて」という状態から、「ここでの評価は、自分の一部分への評価にすぎない」という状態へ。

同じ出来事に出会っても、受け止める側の構えが変わります。

断ったら居場所がなくなる、という恐怖も、居場所がもうひとつあれば、少しだけ小さくなります。

悩みを消す魔法ではなく、悩みとの距離を選べるようになる仕組み。会社の外の軸足とは、そういうものだと私は考えています。

眠れない日が続くときは

最後に、ひとつだけ。

気分の落ち込みや眠れない日が長く続いているときは、この記事で書いたような工夫の前に、医療機関への相談を検討してください。

それは大げさなことではなく、ごく普通の選択肢です。


まとめ

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


職場の人間関係が「良好」な30代は約3割。

退職の本音理由の1位は、誰にも告げられないままの「人間関係」。

そして30〜40代の男性には、相談相手がいないことのほうがむしろ普通——。

今日お伝えしたかったのは、あなたの悩みが「普通のこと」であり、その原因はあなたの性格だけにあるのではない、という事実です。

明日、何かを劇的に変える必要はありません。

頼まれごとに、一言だけ「確認させてください」と挟んでみる。それだけで十分な一歩です。

このブログでは、会社にすべてを預けない生き方について、同じテーマでこれからも書いていきます。

よろしければ、また読みにいらしてください。




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