巷で言われるピアノの基礎技術について、問題点を整理してみました。
ハノン、ツェルニーについてです。
これらの教材は、効率良く「速く正確に弾けるようになる事」を第一目的としています。
ですがハノンやツェルニーを何となく毎日弾く、これは最も間違った使用法です。
まずハノン、
音楽的にあり得ないひたすらの反復
これにより、「効率良く技術を身につける」という目的です。
ですが、音楽的にあり得ない反復を平気で弾ける感性が育ってしまう訳です。
まして惰性で練習し続けると、ピアノを弾くという事が音楽を奏でる事と完全に離れてしまいます。
その行き着く先はおかしな所になってしまう。
速く正確に弾ける事は大事です。
でも例えば曲に不釣り合いに速く、正確性を強調して弾くのは間違いです。
そういう間違った感性が育ってしまうのです。
一部の音大生の演奏が「魅力がない」と言われる事の大きな要因でもあると思います。
子供に基礎技術を教える時、短い曲を正しい奏法と間違った奏法で弾いてみせます。
どちらが美しいかときくと、必ず正しい奏法を美しいと答えます。
美しいか聴き苦しいかを聴き分ける耳を育て、感性を育てる事は大切です。
その感性が一生、その人の先生になるのです。
音楽的に無意味な反復は、その感性を壊してしまう危険が大きいのです。
ツェルニーの練習曲は、曲として一応成立しています。
しかしここでも目的は、反復による習得で、音楽的に魅力ある作品とは言い難いです。
ツェルニーの練習曲は膨大で、その教材を何年も次々続けるなると問題かと思います。
音楽的には魅力に欠ける作品を、毎日何年も弾き続ける
本来、「?」なのです。
誤解を招きますが、私はこれらの教材を生徒さんによっては利用します。
特にハノンは非常に特殊な利用法です。
まず練習の目的を明確に伝えます。
そして1日の練習の最初に1回だけ、1オクターブのみ集中して行います。
それ以上の練習は自宅でも禁止。脳が疲労して出来ません。
ツェルニーも希望する方には、教材として用いています。
目標は、ウィーン式の美しいため息が出るほどの優美な演奏(笑)
美味しくない素材を美味しく料理する事も大切です(暴言ですね)
誰ですか?ドタドタ弾いてるのは!ツェルニーの世界は優雅なのですよ!(笑)
一番大切なのは、美しい音楽を自然に求める耳を育てる事です。
歴史に残ってきた作品や演奏に触れ学ぶ事、自分の奏でる音楽を客観的に捕える事が大切です。
私の「ピアノを弾ける手」を育てたのはハノンとツェルニーです。
若い頃は「魅力のない演奏」でした。
散々遠回りしてきました。
奏法を会得するのに苦労はしましたが、そればわかれば弾けるのです。
もしかしたら、間違いに悩み、気付き、取り戻すのに苦労する事
その繰り返しこそが大切なのかもしれません。
一人一人に最適な基礎の習得法があるのでしょうね
難しい問題です。