風立ちぬ。
ネタバレになるかもしれません。
里見さんのなんてうるわしい事。
一つ一つの仕草、表情、心意気。
病気にかかっていても最後まで美しい姿だけ二郎さんにお見せする。あぁなんて綺麗なんだろう、と思いました。
そしてそれは里見さんだけでなくて、
この作品に映る日本人全てにおいて。
言葉遣いの丁寧さ、信頼し合っているからこそ出来る気遣い。
儀礼的にしてることとはまったく感じられなくて。気遣いというより思いやり。そんなのを強く感じました。
また、映画を通して驚いたんですが
この作品に出る人々の出会う時間の短さ。
皆一瞬なんです。
一言二言交わしたかと思えばもうさようなら。
わざわざ沢山時間をかけて会いに来たのに。
恐らく現代よりは一つ一つに時間がかかるからそんな余裕は無いんだと思うんですけど、けど短過ぎて本当に驚き。
私なら淋しくて嫌だ、なんて言ってしまう気がします。
それだけこの作品で生き抜いた人々は一瞬を尊く、儚く、思ってたのでしょう。
それがなんだか素敵に思えてなりませんでした。今なんていつでも話せるし、会おうと思えば1日もあれば平気で海外でも行けてしまいます。
便利で幸せなのだろうけど、
この作品のように昔ならもっとずっと相手のことを、誰かを想って会いにゆけます。
その尊さをふと忘れてしまう私たちはある意味少し不幸で物悲しいのかもしれません。
たまには誰かを想って便箋に封筒、そんなことをしたくなる映画だった気がします。
なんだか飛行機が夢詰まった毒であることに複雑な心境を抱きますが。
話が長くなりそうなのでここら辺で。
もっと儚く、尊く。
生きねばならぬ。