中谷美紀さんのエッセイが大好きです。
女優さんとしても素晴らしいし、本当にお綺麗な方ですが、文章も上手い
「嫌われ松子の一年」というエッセイも面白かったし、インドに旅行した時のエッセイも素晴らしい。
ウィーンフィルのヴィオラ奏者の方とご結婚されてからは、オーストリアでの暮らしのエッセイも出しています。
で、今回新しく出たのがこちら。
今回はなんとオフ・ブロードウェイで、あのミハイル・バリシニコフさまとお芝居で共演した体験記。
この舞台の原作、「猟銃」は井上靖のデビュー作だそうで、びっくりしました。読みましたが、素晴らしかった。これがデビュー作?!ってクオリティ。日本語が美しいです。
2011年にモントリオールで初演、日本でも上演、2016年に日本で再演、昨年2023年にニューヨークで再再演ということでした。
観てみたかったのですが、一度も観れなかったので、観たいなーと思っていたら今回WOWOWでオフ・ブロードウェイ版を放送していたので観ました。WOWOWこのためにまた入りました笑
舞台って見逃すと基本絶対観られないから、映像で残してくださって嬉しい!
2011年が中谷美紀さんの初舞台だったそうで、いきなりこれは凄い!ほぼ1人芝居で、しかも1人三役。舞台って、映像と声の出し方から何から違うと思うのですが、素晴らしいですね。
所作が美しい。セリフを言いながら着物を自ら着付けるの、凄すぎ。
蓮の池、石の庭、板の間と登場人物によって変化する舞台装置もかっこよく面白いけど、これがうまく動かずトラブル続きで大変だったそうです。
内容は、3人の年齢も立場も違う女性の、1人の男性宛の別れの書簡。1人はその男性の妻、みどり。1人は愛人、彩子。もう1人はその愛人の娘、薔子。
書き手が、猟銃クラブでその男性、三杉穣介に出会ったという設定です。
このオフ・ブロードウェイ奮闘記では、日本ではあり得ないようなトラブルの連続で、そりゃあ大変だったろうなぁと思いました。コロナ禍の余韻が残る中すんごいたくさん漢方だの、サプリだの、酸素カプセルだのと万全の体制で望むために準備したのに、最終的にやっぱり体調を崩して39℃の熱を出しながら舞台に立ったのは凄すぎる。
で、共演者が、なんとあのミハイル・バリシニコフさまですよ!
ミーシャさまと言えば、クマテツさまも憧れていた存在。「ホワイト・ナイツ」のピルエット10回転には私も痺れました!かっこよかったですよね〜。最近はバリシニコフ・アーツ・センターを設立し、今でもバレエレッスンをしながらお芝居の舞台に出たりしてるみたいですね。SATCの最終シーズンに突然出てきてびっくりしたな。
やっぱりキャリー可愛いね。
「ALL THAT JAZZ」の天使役だったジェシカ・ラングさんとの間にお子さんがいるのね?それも知らなかったのでびっくりした。
↑これが、エッセイの中で大揉めしてもう少しで降板騒ぎになりそうになった婦人画報のインタビュー。実現してよかった。
「猟銃」を上演した去年のお歳は75歳。さすがに素敵なおじいさま、って感じですね。
ミーシャさまはセリフなしなんですが、やっぱり存在感すごいな。前の二公演は別の方が演じていたそうです。
しかしまぁ、中谷美紀さん、一昔前の女優さんなら出来なかったことをどんどんやってのけてるなぁ。英語もフランス語も堪能、美貌、才能、知性、品性、文書力、好奇心、そして根性。
私同世代なんですが、本当に凄すぎる...。出身地も近かったらしい
最近はすっかりディオールをお召しになったセレブ、マダム〜という感じですが、エッセイを読むととにかく生真面目で努力家で勉強熱心、不器用なところもあってど根性の人で好感が持てます。
物騒なNYで舞台に立って命を削って世界に挑むより、かけがえのない家族との時間がいかに大事か分かったので、もう舞台には立ちません、と書いてあったけど、ムヒカ元大統領みたいですねぇ...。かっこいい。
それにしても今回の挑戦のきっかけの一つはミーシャで、もう一つが「ルル」というオペラだったそうなのですが、このオペラ、悪女ルルのお話を50歳のバーバラ・ハニンガンさんというオペラ歌手が生まれて初めてトウシューズを履いて挑んだ事に美紀さんが感動したそうで、これもびっくりした。
大分バレエが前面に出てますね!ルルという危なっかしい悪女を表現するために慣れないトウシューズ履いてヨロヨロでも面白いと思ったのかな?演出上は面白いんだろうけど、トウシューズのことちょっとは知ってる身からするとケガしないかとヒヤヒヤものです
エピローグで、突然中谷美紀さんからバーバラさんの文章に変わってびっくりしたな。あれは不思議でした。
このチャコットさんの記事、あらすじもすごく詳しいです。なんかちょっと細かい部分がそうだったっけ?というところもありましたが...。日記はみどりがわざと見せたんじゃないよね?
それぞれの選択も、私は絶望的な内容とは思わなかったけどな。薔子は美しい謎めいた母親とおじさまからの解放と自立、みどりも13年という長い年月の裏切りへの怒り、彩子へのコンプレックスからの解放、彩子は愛されること、愛することを知ってこの世から解放される道を選んで、それぞれ三杉穣介に別れを告げたのだと感じました。
とにかく、中谷美紀さまが麗しくかっこいいです!
これからもご活躍楽しみにしてます!WOWOWの美紀さまのドラマも見よ。