刑事訴訟法

 

 

■択一的認定

 

裁判所による犯罪の択一的認定は認められるか。

両罪のどちらも証明されていないにも拘わらず、択一的認定をすることは、「疑わしきは被告人の利益に」の原則(333条1項)に反する。

そこで、明示的又は黙示的に択一的認定をすることは許されない。

尚、論理的択一関係にある場合に、重い罪に利益原則を適用して不存在を認定し、軽い罪の存在を認める見解は妥当ではない。なぜならば、利益原則をまず軽い罪に適用する根拠が不明であるうえ、利益原則は犯罪事実の証明が不十分である場合にその犯罪で有罪にできないというものであり、進んで証明不十分な事実を「存在しなかった」と積極的に認定することまで命じるものではないからである。