刑事訴訟法

 

 

■訴因変更の要否

 

当事者主義(256条6項、298条1項、312条1項)の下、裁判所の審判対象は、一方当事者たる検察官が主張する具体的犯罪事実、即ち訴因である。

とすれば、かかる事実に変化があった場合は、訴因変更が必要となるのが原則である。

もっとも、些細な変化でも常に訴因変更を要するとなると、訴訟経済に反する。

 

訴因制度の趣旨は、審判対象画定という識別機能と、被告人に防御範囲を示す防御機能にあるところ、前者を充足すれば後者も充足されるから、前者こそが第一次的機能といえる。

そこで、①審判対象画定のために不可欠な事実に変化があった場合、又は②被告人の防御にとって重要な事実に変化があった場合には、訴因変更が必要となる。

但し、具体的審理経過に鑑み、被告人の防御にとって不意打ち且つ不利益とならなければ(=争点顕在化措置が不要であれば)、訴訟経済の観点から、訴因変更は不要である。