刑法
■詐欺罪(246条)の客観的構成要件該当性
詐欺罪の客観的構成要件に該当したといえるには、①行為者が財物の交付に向けた欺罔行為を行い、②それにより被害者が錯誤に陥ったことによって、③財物又は利益の交付行為を行い、④財産上の損害が発生したことが必要である。
■欺罔行為とは
欺罔行為とは、交付の判断の基礎となる重要な事実について被害者を錯誤に陥らせる行為をいう。
■交付行為には処分意思が必要
詐欺罪の本質は、被害者の意思に基づく交付行為により財物又は利益が移転することにあり、かかる交付行為は被害者の処分意思に基づいている必要がある。
この点、移転の外形的事実について被害者に認識があれば、その移転は被害者の意思に基づいているといえる。
したがって、処分意思とは、財物又は利益の移転に係る外形的事実の認識で足りる。
■財産上の損害とは
詐欺罪は個別財産又は利益の移転を捉える罪であるから、財産上の損害とは、個別財産又は利益の喪失自体をもって足りる。