なかなか観始めるまで時間を要した。作品の概要に「抑制の効いた云々…で〇〇が絶賛」みたいなことが書いてあったので、意を決して全8話に挑戦(私はドラマが苦手。忍耐力がなくて、映画でも3時間モノとかは覚悟して観る)。

 後で調べたら、原作はピューリッツアー賞受賞の手記だったり、本作品がオスカーにノミネートされたりの、観るしかない作品だった…

 

 詳しくはHPに詳しく出ているのと、やはりネタバレは控えたいのだが、基本は連続性的暴行事件を二人の「女性」刑事が追う。まずは、その最初に、被害者が警察の取り調べの過程で虚偽だったと認めてしまう(誘導されて)。

 

 確かに、抑制が効いている。序盤では効きすぎているくらい。あまりぐいぐいというわけにはいかないのと、最初の被害者が3歳から虐待を受けていて、感情がものすごく不安定。それを熱演してくれるものだから、よほど、虐待サバイバーへの理解というか免疫がないと、なかなか感情移入することは難しいと思う。

 しかし、警察が誘導してしまうことで、被害者が被害の供述を取り下げる過程は、虐待まで行かなくても、例えば「いじめ」をなかったことにしたいという学校側の姿勢と大いに重なるものがある。

 抑制した基調は、取り調べシーンでも働いていて、決して担当刑事が悪意満々で虚偽自白だったと認めさせようとしてはいないこと。だが、物証がないことや、被害者の虐待サバイバー特有の感情のゆらぎを理解できないこと、その他諸々から、相応の自信をもって結論づけてしまっている(相棒の刑事は誘導感丸出しだったが…)

 それだけに、いくらでも起こりうるということを、抑制した演出ゆえに感じさせる。

 

 後半は、抑制されつつも、犯人と刑事バディの攻防(頭脳戦)が展開されるが、抑制された(これがキーワード?)どんでん返しがあったり、また、ドラマ「FBI」もどきに、先端科学捜査の場面やSWATの突入シーンもあるので、改めて地方警察で、アメリカ的?に人員を一斉投入して制圧するのは同じなんだと理解できる。

 

 サイドストーリーとして併行する第1回の被害者のその後だが、ある意味では虐待サバイバーへの支援者にとってはキツい終わり方である。主人公が女性刑事バディだから、ドラマとしてはこれでよい(自分も反対はしない)のだが、自分も仕事柄、支援する側の人間なので、「じゃ、今までしてきたことは何?」ということになる。

 

 救いは、主人公の刑事バディが、家庭崩壊せずにミッションをやりとげ、多くの被害者の罪を償わせ次の被害を防いだ。そこだろう。そこが警察官の苦悩でもあるのだから…。