マイ新海誠監督ウイークの3作品目。

 順番がすずめの戸締り→君の名は→天気の子となってしまいました。

 

 結論からすると、自分は3作品の中で、これが一番しっくりきたかな。

 世間では、人気がなかったとの話もきくが、それでも星4.5?だからヒットしたのは間違いない。恐縮ですが、あらすじはネットにたくさんあるので、そちらでお願いします。

 

 「君の名は」と「すずめの戸締り」がいわゆるセカイ系?で舞台がスペクタクル巨編的だったので、今回はおやおや〜!?という出だし。

 主人公は飢えた家出少年で、ヒロインも未成年の姉弟。警察や児童相談所に目を付けられ、追われる身になっている。

 これって、他2作と違って逆に感情移入しにくいのではないだろうかと思った(昔

のオヤヂな自分は感情移入しやすい)。

 

 新海監督作品の主人公は、どこにでもいる、今の日々の生活に息苦しさを感じている、何か「となりの芝は青い」のではないかと鬱屈している少年少女。だから、今時の観客には感情移入しやすかったのだと思う。

 よく人物描写や掘り下げが足らないから感情移入できないというような批評を目にするが、新海監督はわかっている。キャラが立ってあんこが詰まっているような主人公では、感情移入しにくいのだ。ある日突然、自分が世界を救う冒険の主人公になるには、だれでも、自分もなれるかも?!と思える主人公が「重くなくて」良いに決まっている。


 観客で、警察に追われたり、児童相談所に要保護児童として保護されそうな主人公に感情移入できる者は少ないだろうし、逆に、移入または共感できるような者は新海監督作品は観ていないと思う。新海監督作品の観客にとって、世界が違うし、自分と違う世界の者を理解しようとするのは面倒で、映画で異世界を体験するのは、想像力を必要としないものでなければ…。

 

 後半は、やはり異常気象なクライシスとスペクタクルになり、結局はヒーロー、ヒロインは、セカイを救う、救わない…という岐路に立つ。

 

 結末は賛否あったらしいが、結局は救わない。でも、東京の人々は暮らしている。水浸しになった世界で生きることも、映画ネタとしては昔からのものであったが、新鮮だったのは、サバイバルする世界ではなく、東京は東京のままで、人々は今までのままで、生活を続けていること。特撮並みの解像度で新海監督の映像が、ブレードランナーよりもっとどんよりした都会をみせてくれる(この雨空のグレーな色彩が多かったのも不評だったようだ)。

 

 主人公は警察に逮捕され家裁で保護観察措置となって実家に帰る。高校卒業まで家出前と同じ生活を送る。特に虐待親が待っているわけでも、貧困でもなく、問題がある家庭でもなく、そこは新海流である。

 

 でも、救わなくてもよいんじゃないか?。自分の愛する人優先で。映画ではなくても、例えば、自分の愛する人の命と大災害から多くの命を救うことを天秤にかけたとき、この映画の主人公のように愛する人を救う方を選ぶ者は多いと思う。

 

 今回の映画では、結果は大災害ではあったが、災害の性格上ゆっくり進行したので、多くの人命は失われていないようだし、ハッピーエンドだったと思える(そう思わない方も少なくないようだ)。

 新海監督作品では、結果的に私のお気に入りになったが、レビューは何だか甘いのだか、辛いのだか、分からなくなってしまってごめんなさい。

 それくらい、賛否は分かれる作品と思うので、ぜひ、観てくださいね。