公開日: 2023/02/17

タイトル: Why It Feels So Good To Eat Chocolate
ポッドキャスト: Science Friday
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概要:

食べ物の好き嫌いは食感に大きな影響を受けているが、味覚に比べると食感の研究は進んでいない。英国リーズ大学の研究チームは、人工の舌のような装置を開発し、口内の摩擦など物理的な観点から、チョコレートを味わうという行為を検証した。

 

高級チョコレートを口に入れた時、たいていの人は噛み砕かずに食感を楽しみ、舌の上で溶かして味わうだろう。悲しいかな、その至福の体験は数秒で終わってしまう。チームはこの数秒の間に口の中で何が起こっているかを解き明かすため、脂肪分の異なるダークチョコレートを人工舌にこすり付けた。

 

チョコレートを最初に口に入れた時、この第一ステップでは脂肪分が物を言う。脂肪分が70%と90%の場合では摩擦係数に明らかな違いがある。しかし一度チョコレートが溶けて唾液と混ざり始めると、唾液が口内の体験を左右する主役となる。つまり最初の口当たりを滑らかにするためには、中身より表面の方が脂肪分が多いチョコレートを開発する方が効率がいい。

 

食感がいかに重要かは舌の構造を見てもわかる。舌は筋肉でできていて、特徴を簡単にまとめると、味蕾がある茸状乳頭と、味蕾がない糸状乳頭があり、その数は後者の方が圧倒的に多い。舌は味わうだけではなく、言葉を話すため、摩擦を知覚するため、そして食感を判断するための機能が発達しているのだ。

 

今回の検証結果は、アイスクリームやチーズのような他の相変化物質(※個体から液体へなど、温度や圧力の変化により状態が変化する物質)にもあてはまる。しかし脂肪分が主成分となるこれらの食品に対し、その他の食品に関しては検証されていない。食べるという行為にはまだまだ研究の余地があるのだ。

 

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チョコレートは時々しか食べないが、今度食べる時は舌の上でよく転がして食感をよく確かめてみようと思う。研究熱心な日本のメーカーのことだから、表面により脂肪分を、というような工夫は既にどこかで行われているかもしれない。