公開日: 2022/3/18
タイトル: From Succulents To Bugs: Exploring Wildlife Crime
ポッドキャスト: Science Friday
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概要: コノフィツムという多肉植物が密採者に狙われている。パンデミック下で植物を育てる人が増え、需要が激増した影響だ。コノフィツムは、ナミビアおよび南アフリカ共和国の北ケープ州、西ケープ州というアフリカ南部のごく一部の地域にしか生息しない。約100種あるコノフィツムの一部は大変希少で、生息地域がサッカー場数面程度であったり、崖のふちにかろうじて生息しているような状況であり、ハンターの餌食になれば絶滅してしまう。

コノフィツムは親指の先程度の大きさで、通常は石ころ等に紛れて風景に溶け込むが、色鮮やかな縞模様がある種や綺麗な花を咲かせるものもある。希少であることが価値を生み、ヘロインより高値で売買されることもあるという。密採者は主に中国、日本、韓国での需要急増に応じて活動している。コノフィツムの成長はゆるやかで、花を咲かせるまでに数年、くるみや人のこぶしくらいの大きさに育つまで何十年もかかる。密採の対象となりやすいのはこうして育った数十年ものであり、数年で売りに出す温室栽培ではなかなか対策にならない。

密採者は無論逮捕されるが、司法の対応が追いついておらず、起訴されることは稀である。また罰則も軽く、法律上は場合によっては10年間の服役を科することも可能だが、数百ドル程度の罰金で済んでしまう。しかし外国人には厳しく、2019年に4人の中国人密採者に一万ドルずつの罰金が科された。また2人の韓国人密採者に16万ドルが科された例もある。コロナ禍では業者の移動が難しくなり、現地での活動に地元民が雇われることが増えた。温室栽培の他、地元民の生計を確保して密採に手を出さないようにする対策が検討されている。

 

※今回のエピソードはナショナルジオグラフィックの野生生物犯罪記事に基づく。
ゲスト/記者:Dina Fine Maron氏

 

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私自身もコロナ禍初期に100円ショップで多肉植物や観葉植物を数点買い求めた。身近な多肉植物にこのような絶滅危惧種があるとは驚きだ。植物だけでなく、コロナ禍で困窮して密猟に手を染める人が増えたという話も聞く。ハンターが追い求めるのは私が買わないような価値が高いものだけれど、需要を生み出している日本市場の一消費者として購買行動に責任を持たなければならないと感じた。

今回密猟、密漁の植物版が「密採」であると初めて知った。ポッドキャストは学びの機会にあふれていて本当にありがたい。