公開日: 2021/02/24
タイトル: I'm Lovin' It
ポッドキャスト: Twenty Thounsand Hertz
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概要: マクドナルドのジングルには国により様々なバリエーションがあり、80~90年代には販促も順調だった。しかし、21世紀に入り人々が健康志向に目覚め、マスコットのピエロに嫌悪感を抱く人々も現れた。イメージを一新するためにマクドナルドはアイデアコンペを開催。ドイツの広告代理店が"I'm Lovin' It"の原型となる"Ich Liebe Es"を思い付き、音楽制作会社Mona Davisにメロディーを依頼した。過去のコンペの雪辱を果たすべく燃えるチームは、言葉には難なく音を付けられたものの何かが足りないと模索した。そして残業続きのある夜に思い付いたのがあの"ba da ba ba ba"という5音だった。口ずさんでもいいし、ラテン風にアレンジしてもいい。どの国のどのようなスタイルにもぴったりはまった。

見事案件を勝ち取ったものの、それからの道が険しかった。このメロディーを14カ国に広めるプロデュースを請け負い、7カ月間ミーティングとミクシング漬けの日々を送った。最終的なミックス数は3700!せっかく用意した各国仕様のキャンペーンをキャンセルすることに怒る人もいれば、ミュージシャンに指図されるのを嫌う人もいた。
マクドナルドは全世界で共通のジングルを使用するだけでなく、このフレーズを組み込んだヒット曲を世の中に送り込み人々の耳慣らしをしようと考えた。ジャスティン・ティンバーレイクを起用したトロイの木馬作戦は大成功。当初2年間の予定だった"I'm Lovin' It"キャンペーンは現在も続いている。

 

マクドナルドをあまり利用しない私でも"I'm Lovin' It"の文字を見ればサウンド・ロゴが脳内再生される。一生忘れることはないのではないだろうか。たった5音の魔法。メロディーの力はすごい。