ケンブリッジの風② ハーフオン・ハーフオフ | 019|まる・いち・きゅう

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ケンブリッジの風②
ハーフオン・ハーフオフ

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桜に始まり、桜に終わる。そんな印象が強いのが日本でいう「年度」ではなかろうか。私も毎年ゴールデンウィークまではまだまだ自分の新しい「肩書き」がくすぐったかったのを思い出す。

しかし、4月が年度始まりという国は実は珍しい。海外の友人と話をすると海外では9月か1月始まりが多いようだ。イギリスも例外ではなく、ほとんどの大学の年度は夏休みを終えた9月に始まる。しかし、ケンブリッジの場合年度の開始は10月。私のカレッジの第一印象は、入り口に生い茂った真っ赤な蔦だった。

ケンブリッジは3学期制。驚くことに各学期はそれぞれ8週間しかない。ひとたび年度が始まると冬休みとイースター(復活祭)休暇を挟んで10月から6月までが一年度となるが実質学期とされるのは24週間しかない。

なぜケンブリッジでは学期がこんなにも短いのか。それには様々な理由がありそうだ。まず1つは生徒を鍛えるためだというもの。学期中の課題の量は学部によってまちまちだが、文系の私の場合8週間で2000語ほどのエッセイ(いわゆる小論文)を12本。そうすると仮に学期中は毎日勉強に費やせると計算しても、一本につき4日・5日ほどしか時間はない。学期中に勉強以外の予定が入ればその日数はさらに減る。こうやってさらっと書いてしまうと意外に簡単なように思えるが、実際やってみるとこれはなかなか手強いのである。効率よく、めげずに努力することが求められ、「鍛えられている」というのもうなずける。一方で学期を短くすることで長い休暇を確保し、教授が自身の研究活動に専念できる環境をつくるのが目的だという人もいる。ケンブリッジは研究大学と位置づけられ、世界的に見てもトップレベルの研究が今でも次々と発表されている。その背景には研究活動を熱心に行っている教授らがいるわけで、彼らの研究のために学期が短く休暇が長いというのは非常に納得のいく理由である。チューターと呼ばれる私の寮での担当の教授もこの春の休みはモロッコに現地調査に行ったとか・・・。

ちなみに私のコースだと学士号が3年で取れる。つまり24週間×3年間=72週間(1年半)で学士号が取得できるいやはや。

「SAITAMAねっとわーく」5月号より