いつものように牌と戯れた後

チャリンコで帰路についていると・・・

 

「おとうさん、すいませーん・・・」

 

20代後半の若者が声を掛けてきた。

 

「やれやれ、またか・・・」

 

私は、ため息をつきながら

チャリンコを止めた。

 

こんな夜遅くまで

ほんとうにご苦労なことだが

その日、私はノートツで少し機嫌が悪かった。

 

「会社の飲み会ですか~」

 

まさか、オンレート麻雀で

ボコられたとも言えず

 

「仕事だよ。酒なんか一滴も飲んでねぇ!」

 

「じゃあ、無灯火ということで

注意だけさせてくださーい。」

 

毎年4~5回・・・

そう季節の節目ごとに

私は、愛知県警から

この「無灯火」という罪深い行為で

イエローカードを貰っているのだ。

 

安物の自転車のライトは

ダイナモというシステムで

灯火するときは、レバーを押して

タイヤと装置を接触させ発電するわけだが

まるで、坂道でも上るようにペダルが重くなり

100メートルも走ると息が上がってしまう。

 

喫煙という悪習慣を

長年継続している私にとって

これが結構きつかったりするわけで

いけないことだと知りながらも

どうしても、無灯火になってしまうのだ。

 

「お名前、教えてください。」

 

「○○だ!」

 

「下の名前も教えていただけますか?」

 

「□△だ!」

 

「□はどんな字ですか?」

 

ノートツで機嫌が悪かった私は

少し意地悪になっていた。

 

「トンコウのトンだ!」

 

「トンコウ・・・・」

 

「ドンファンだよ!」

 

「・・・・・・!?」

 

私は、ニヤニヤしながら

 

「ロバ肉食べたことある?」