1m食パンの本棚 -2ページ目

1m食パンの本棚

小説書いてます。
もともと違うサイトの方から作品お引越し中。。。
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その日が訪れる100年ほど前から
この地球では燃料の枯渇が大きく問題となってきていた。

名だたる専門家たちが数々の有意義(と口々に言う)議論を重ねた結果
世界の誰もがやはりどうしようもないという結論に至ったその日
地球に神様の奇跡が訪れた。

その日ちょうど深夜24:00のこと、世界中のだれもが 明日になればいつも通りの世界が広がっていて いつも通りの世界の中で、いつも通りの僕たちは明日も退屈な小学校に行かなきゃいけないものだと決めつけていた

しかし、この一晩。
たったの一晩で人類は“いつも通り”という言葉の不確定さとその心もとなさを自覚させられることとなる。


その夜

希望と絶望、この二つの相対する存在が 同時に私達を襲った
その日僕たち人類は、永遠の供給を手にする代わりに一切の希望を失った。


のうのうと時を刻む僕ら

誰一人気づかせることもなく

その日地球は裏返った


暗く沈んだ病室に静かに反響する機械音を耳にしながら私は静かにそこにいる
『これを外せば、楽になる。私は解放されるんだ。』
誰かの囁く声が反響して闇に溶け、

照明がやけに明るく見えた。

最初から最後まで奴はひどいやつだったように思える。
両親に捨てられ暗闇で生きながら、そのまま終わるはずだった私の一生は
あの日彼の手によって大きく覆されてしまったのである。

あの大雨の日私は彼と出会った。
その時彼は死のうとしていた。


それは絶望から生まれた到底美化できないような恋である。
まさに運命の日、たまたま夜遅くまで町を散策していた私は
格好の餌食が近場の雑居ビルに上っていくのを見届けた、少し怯えはあるもののその後についていく、そうでもしないとご飯を食べていけないのがこの世界である。
よれた服装の男性に声をかけるのがこの世界を渡るコツだ。
私が快活に上った先、非常階段の中ほどでその人は何か考えにふけっていた。
私はその隣に両足を揃え、上品に座り込む。
彼は私の出現に一瞬驚き、警戒し、そしてしばらく間を開けたのちひとりごとのように語り始めた。

「日々にね、終わりが見えないんですよ。」
『……だから死のうとしているんですか』
「私は何も変化のない明日が来るのが苦痛で仕方ないんです。」
『ご家族はいないの』
「両親もついこの間死んでしまって、私はもう一人ぼっちなんです。」
私は彼の一言ずつに耳を傾け寄り添う。

そして彼はすべて話し終わった後、私を抱きかかえるようにして吠えるように泣いた。
泣いて泣いて空が白み始めた頃、彼の顔つきは生きた人間のそれへと大きく変貌していた。
彼の絶望する姿から私の恋は生まれたのである。

それから私は彼の家で同棲することになった、彼は酷い男だった。
ある日急に荷物が増えて知らない女がやってきた、同じ会社の女らしい。
私を見て必要以上に話しかけてくる
私は嫉妬心から口を利かなかった。

女は何年たっても出ていかなかった、私がここから出て行こうともしたけど、彼は知ってか知らずか、私が出て行こうとするとき決まって私を抱き寄せた。
それを振り切っても、なまった体では三時間の家出が私には限界だった。

そうして怠惰な生活が何年か続いたあと変化が起こった。
女が子供を産んだのである。
私は絶望した、彼に愛されるのは私だと思っていた、その自信が灰色に変わり。
私の声はこどもの泣き声に相殺される。
彼は仕事で日増しに忙しくなっていたが、それでも帰宅してから子供の顔を見て幸せそうに笑っていた。

そんなカゾクの空気にあてられて、その日から私は空気のようになってしまった。
ふわふわと誰も私の事なんて見ない生活。

そんなある日
「おまえちょっと痩せたんじゃないか?」
不意を衝いて話しかけられた,
私は、少し戸惑いながら彼に言葉を返す
『最近…ご飯が食べられないの、おなかもずっと痛くて』
「お前ももう年だもんな、よし!念のため病院行くか」


何で泣いてるの?
何で謝るの?
私はこんなに元気なのに
やめて、痛いことはしないで


もう一生分の苦痛を味わった、一生分の愛情だって彼からもらった。
何もない世界だって大きく広がった。
私はもう十分
だから


私は最後の声を振り絞る。もういい、これで良い。
痛みが絶え間なく体にはしって声にならない悲鳴を上げた、
ひどく体が軋んでいる、悲鳴は誰にも届かない。

弱々しい肺が必死になって潰れていく、ぺちゃんこになった体は重力とタオルに挟まれて潰される、もう感覚なんて残っていない。

彼が私の頭をやさしくなでる。
この手がすきだった、そして私の名前をやさしく呼ぶその声が好きだった。
出会えてよかった、本当に。



私は柔らかい布の上にねかされている。
泣かないで、悲しまないで、私は大丈夫。
悲しくても涙は出ない。
私も彼のように泣いてみたかったなぁ
彼のそばに、
人間でありたかったなぁ





「ニャア」


泣かないで、と一言つげて
私は重い瞼をゆっくりと閉じた。

空は、藍が美しく透き通っていた。
ご挨拶を読んでいただいてありがとうございますヾ(@°▽°@)ノ
このブログは私の過去の作品とエブリスタ(小説サイトです)で公開できなかった
作品のまとめとなるサイトになっております!!

書いた当初中二病という一過性ですが非常に深刻な大病を患っていたため
たまに深刻な表現や恥ずかしい作品も載っていますので御了承を。。。



好きな作家は小林泰三、森見登見彦、村山由佳
ですが全く似ても似つかない様な作風(笑
小説とか本とかよく読みます。

ほかに小説書いている方々と繋がりたい(´∀`)


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