7月13日(土)諏訪市文化センターで開催された
『パネルディスカッションー新たな高校入試制度を考え合うー』
主催:長野県の教育を考える会
に、参加してきました。
長野県の教育委員会が2022年から高校入試を新しくするという
新入試制度案が発表されました。
大学のセンター試験が変わるという話は聞いていたけど、
子どもたちにとって何が変わるのか・・・とっても興味がありました。
不登校を考える県民のつどいの生みの親、上伊那のこども・若者サポートはみんぐの戸枝さんも登壇。
どんどん増え続ける不登校の子どもたちの立場もしっかりと語っていました。
★その会で出された改定への懸念の数々★
【子どものためではなく大人の都合】
【子どもたちの進路を狭める】
【不登校の親子をさらに苦しめる】
【大人の都合で子どもの夢を決める?】
【決定したら子どもも大人もそれに合わせるしかなくなる】
【多様化どころかむしろ選択肢が少なくなる】
【選んだ特色以外の学びの自由がなくなる】
【人材の育成であり、人格の育成ではない】
【自己責任を強いられる】
【普通高校がなくなる】
【子どもの権利の保障になっていない】
【子どもにメリットがない?】
【弱いものを排除する】
【十分な議論ができていない】
【改定のスケジュールもおかしい】
【学力競争から学校競争へ。人気がなければ学校自体の存続も危ない?】
などなど。
なにやら、困ったことが起きそうだ。
中学の保護者や子どもも知る人は少ないという現状。
決まってから困るのは子どもと親。
しっかりと知って、声を上げていかなければ!と思いました。
その会で紹介された新聞記事の中で、中学生の子が語っていた言葉
「結局、頭の良い人が求められている。将来の夢に挑戦したいという人はいるが、それが今の得意分野とは限らない。今の段階でそれに適する高校を選ぶのは難しい」
これが改定の懸念だと思います。
改定の内容は、各高校はその学校の特色に合わせて、入試の科目の重点を自由に変えられるということ。
前期選抜にも2種類の学力検査が追加される。
後期選抜ではA基準B基準の二つの基準で検査。
高校によって、特色を出す。
調査書(中3のときの評価)にも、特色に対応したことが必要。
・・・ということは、行きたい学校を決めたら、それに合わせた勉強をしていかなくてはならない。
得意がない子は?
前期選抜で落ちた子は違う学校の特色に合わせられなかったら??
準備の段階から行きたい学校の特色に合わせたことをやっていかないとダメ?
高校での学び直しなんて無理?
そんな疑問がたくさん。
今の中1の子が受験するときには変わるという話しですが、
大学、高校、中学の先生方も「複雑でよくわからない」と言うこの新制度。
「いったい誰のための改定なのか?」
「これは、誰にとって都合がいいのか?」
どうも、子どものために変えるのではなく、大人の都合でしかないことはわかります。
文科省が学習指導要領を改訂しましたが、それが根底にあるようです。
では、その新しい学習指導要領は、なにを言っているのかというと、
「子どもに求められるもの」として、【こういう人材になってほしい】という願いがあります。
誰が求めているのかといえば、社会、特に経済界。
要するに、【使える大人】になってほしい。っていうこと。
そういう求めに応じて、ふるいにかける入試なのだということですね。
なんだか、変です。求められる人材になれない人は排除されていくの?
県の教育委員会は、国の学習指導要領に基づいて
十分な議論がないままに、2022年という改定の時期を決めています。
改定案が発表されて、今年4月~5月にパブリックコメントの募集がありました。
400件近いたくさんの意見が寄せられたそうですが、この後、中学高校に説明して意見をもらうことになっているそう。
県教委は内容を検討していくということだけど、
保護者や子どもたちへの周知もきちんとできていない、意見もまだ吸い上げられていない、
多方面との議論もなされていない、という現状なのに、スケジュールにも無理がありそう。
多様性という言葉で、学力、多様な資質・能力を伸ばす。と言っていますが、
急に高校入試の前に、秀でた能力ややりたいことを求める。
小中の義務教育の中で、そういうことを考えることをしていないのに、急にです。
「まだやりたいことなんて考えられない」という人は、とってつけたように何かを決めなくちゃいけないの??
子どもの意見を聞いてない、現場のことを知らない人が
「使える人材を育てるため」に考えた制度なのかと、悲しくなってしまいます。
パネラーの方が語ったことの中に、
多様化というのは、多様な特色のあるものではなく、どんな子どもにも対応するということではないのか。
社会全体が「自己責任」という風潮があり、
弱いもの、能力が低いものは、努力が足りないからしょうがないという考えになっている。
というものがありました。
それがそのまま、国の学習指導要領になり、入試の改定になっている。
改定に関わる子どもと親だけの問題ではないです。
小学生も小さい子も、これから育つすべての子どもがそこに向かっていくのですよね。
不登校していて、学習していないから公立の高校には行かれない。
ということが、どんどん増えて行ってしまうかもしれません。
親として、入試改定についてもちゃんと見ていかなければと心底思いました。
日本は国連から、子どもの権利条約に批准していながら、子どもの権利が保障されていない国として
何度も勧告を受けているのです。
大人の都合で子どもを教育しようとしているってどういうことでしょう。
先日の「不登校を話そう」ソーシャルワーク講演会でも、子どもたちの権利を保障することが語られました。
学校や学校に関する制度が、子どもたちや親たちを苦しめることのないようになっていってほしいです。
参考資料です↓
◆長野県教育委員会
長野県高等学校入学者選抜制度等検討委員会
https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/koko/senbatsukentou/index.html
「長野県公立高等学校入学者選抜制度(案)」に対する意見募集の結果について(概要)
https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/koko/saihen/senbatsu/senkaikaku_publiccomment2.html
◆文科省
平成29・30年改訂 学習指導要領、解説等
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm
高等教育学習要領の改訂のポイント
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