真夜中の危機
昨日、真夜中。
寝ていると、コンコンコン。コンコンコン。と何か叩く音が聞こえてきた。
夜中なのに、騒がしいな。いいかげんにしろ。
と布団を被り、無視して眠ろうとする。
しかし、またもや。
今度はドンドンドン。ドンドンドンとより大きな音になった。
一体何だよ!人の眠りを妨げやがって。
ふと外を見ると、誰か窓を叩いてた。
なんだこいつ!?
びっくりした。明らかに怪しい。泥棒か?と思ったが、
男は私が起きたのを見ると、何か言ってきた。
でも、アラビア語なので分からない。
なんやねん。うるさいな。あっち行け!
隣はどうやら頭のおかしい奴が泊まっているようだ。
無視してまたベッドに戻った。
しかし、男は懲りずにドンドンドン。を止めない。
何なんだよ。ホントに。明日は早起きしないといけないのに。
さすがに頭に来て、ホテルの人を呼びに行こうかと思ったが、
男は必死の形相で何か訴えている。
ん?なんか様子がおかしいぞ。
どうやらただ事ではないようだ。窓を開けて話を聞く。
やっぱりアラビア語なので、良く分からなかない。
それでも懲りずに何度も男は説明した。
日本人で言葉が通じないにもかかわらず、
ここで諦めてはダメなんだという必死さが伝わってきた。
男は手でドアを開けるようなジェスチャーと、
なんか持って捻る様なジェスチャーを繰り返していた。
あ!もしかして。
ようやく理解できた。
どうやら鍵が開けられなくなって、外に出られなくなったらしい。
そういえば、ここのホテルのドアは内からも外からも鍵穴でロックするタイプで、
しかもこれがなかなかオンボロで、慣れないと開け閉めが難しいのだった。
ユリも鍵穴に鍵を挿しては、うまく開閉できず、
なんどもなんどもガチャガチャやっていたことがあった。
男はようやく私が理解したのだと思ったのか。
少し表情を緩め、私に鍵を渡した。
鍵を持って隣の男の部屋へ行くと、
案の定、この部屋もなかなか手ごわい鍵穴だった。
ドアが開いた瞬間。
あー良かった。と安堵の息が漏れる。
なかにはもう1人別の男がいた。
大の男が二人、部屋に閉じ込められていたのだった。
「ありがとう!助かりました。まぁ。お茶でも飲んでいってください。」
男の申し出を断り、再びベッドに戻った。
シリア最後の日になんとも奇妙な出来事に遭遇した。(yo)