ドクター・サーメルと仲間たち | いってみよう! 夫婦で GO!GO! 世界一周。

ドクター・サーメルと仲間たち


baloonojisan
あやしげな風船おじさん


昨日、急に体調が悪くなって、
アブドゥル・アズィーズの家に行けなかったユリも、今日は大丈夫。
昨夜顔を出せなかったお詫びにと、
量り売りをしているお菓子屋で、チョコレートを買って持って行くことにした。


アブドゥル・アズィーズの家の前まで来ると、玄関の扉は開いており、
女性が丁度お祈りをしている最中だった。


タイミングの悪い時間に来てしまったかな?と思いつつ、
「アッサラームアレイコム」と挨拶をする。


どうやら、アブドゥル・アズィーズもお父さんもいないらしい。
女性だけのようなので私は家の外で待ち、ユリだけで挨拶に行った。


ユリによると、彼女たちはもの凄く肌がキレイだったらしい。
みんな透き通るような白い肌をしていたそうである。
確かに普段、外に出るときは肌の露出が禁じられている分、
紫外線にもさらされないわけだから、当然なのかもしれない。


見ることが出来ないのがとても残念だ。


チョコレートを渡して、ドクター・サーメルの診療所に向かった。


ベルを鳴らすと、アンマールが迎えてくれた。
歯医者といっても彼らの仕事は、主に入れ歯を作ることのようだった。
型取りからはじめて、順々に義歯を造っていく。
最後は他の歯の色と変わらないように丹念に筆で着色していた。
特にアンマールは職人気質で私たちがしゃべっている間も黙々と自分の作業をしていた。


アンマールの作業が一段落すると、彼はふとユリの歯に目をとめた。
ユリの前歯の一つはわずかに前に出ているのだが、それを見て一言「ノーグッド。」
そばにいたアブーディがすかさず、自分の歯を見せ「矯正はしないのか?」と聞いてくる。
アブーディは歯に矯正具をつけていた。シリアでは200ドル位らしい。
ユリによると、日本では10万円位かかるんじゃないかという。
「大体1000ドルくらい。」
それを聞いたシリアの歯医者連中は、
「わぉ!俺ら日本では金持ちだ!」と目を丸くして驚いていた。


さらに、アンマールはユリの銀歯に目をとめると、歯医者でよく使う鏡を持ち出してきた。
アブーディといつの間にかやってきたドクター・サーメルも一緒に、みんなでユリの歯を覗き込む。


みんなユリの歯、というより日本の歯医者の仕事に興味津々だった。
食い入るように熱心に覗いていた。


シリアでは差し歯は大体一個2000ポンドくらいだという。
日本円にして6000円ほど。


なぜ、見かけの良い差し歯でなくて、銀歯にしているのかと尋ねられたユリは、
「日本ではすごく高いからだよ。」と答えた。


歯の話題で盛り上がっていると、いい時間になってきた。
英語のしゃべれるアブーディは「明日も来いよ。」と見送ってくれた。


ホテルへの帰り道、偶然にもアブドゥル・アズィーズに会った。
「おお、元気か?」と言うと、彼はまたもや「ついて来い。」と私たちを案内しはじめた。


帰って寝るつもりだったが、せっかくなのでついて行くことにした。
向かった先はアレッポのシェラトンホテルだった。


アブドゥル・アズィーズはこの辺りでは顔が広く、これまでも道を歩いていると、これが誰それだ。
といろいろな人を紹介してくれたのだが、

シェラトンホテルの中にずんずん入って行ったときはびっくりした。
「こんなとこ、そうそう泊まれないなぁ。」と口を開けてロビーを眺めていると、
私たちはアンティークショップに連れて行かれた。


「まさか。ここで何か買わされるんじゃ。」と少し警戒したが、
彼はそこの店主と知り合いらしく、ただ私たちを紹介してくれただけだった。


シェラトンを出ると、さすがにもう眠くなってきたので、そろそろ帰ることにした。
私が寝る前にビールを買いたいというと、アブドゥル・アズィーズは酒屋まで案内してくれた。
しかし、彼は酒屋の前には決して近づこうとしなかった。
私がビールを買っている間、ユリと二人で少し離れたところで待っていた。
しかも、私がビールの袋を持って戻ってくると、「カバンの中にしまえ。」と注意してきた。
ユリによると、待っている間「酒は良くない。」というようなことを言っていたらしい。
やはり、彼にとって飲酒は厳禁なのだった。


「やっぱり、飲まないんじゃないか。」


とすると、あの時大学内で、飲みに行こうと言ったのは冗談だったのだろうか?
彼の真意は不明だが、別れ際にアイスクリームをおごってくれた。(yo)