アレッポ城とシリアの友達
昨日は休館日だった博物館に行った。
ハマの博物館は失礼を承知で言えば、
まるで学生が作ったような展示品ばかりで、正直たいしたことなかったが、
ここアレッポの博物館に展示されているものは、なかなか見ごたえがあった。
勉強不足でどの文明のなんという遺跡のものかはイマイチよく分からないが、
椅子のように角ばった女性の像は、中でも独特の魅力を放っていた。
ここに置いてあるのはレプリカで、本物はドイツの博物館にあるらしい。
そして驚いたのは、確かメソポタミア文明のコーナーだったと思うが、
大きな帽子を被り、杖をもった人のレリーフが、
「風の谷のナウシカ」の確かオープニングに登場する古文書に出てくるものとそっくりだったことだ。
クラック・デ・シュバリエといい、ジブリの初期アニメのデザインが、
シリアで眼にしたものと似ていたことは、ちょっとした発見だった。
他にもローマ時代のものはもちろん、明らかにエジプト文明の影響を受けているものもあり、
さすがに文明の十字路と言われるほど、展示品は多彩だった。
博物館を堪能すると、アレッポ城へと向かった。
人がひしめき合って狭いのに、トラックさえも通行するオールドスークの長い坂道を抜けると、
目の前に巨大な城が現れる。
小高い丘に作られたアレッポ城からは、
東京タワーから東京の街を眺めるように、アレッポの街並みが一望できた。
シリアのカップルたちもよくデートでやってくるようで、城壁に座って見つめ合う男女を何組か見かけた。
景色もさることながら、城内はまるで迷路のように入り組んでおり、ちょっとした探検気分も味わえた。
ハンマーム跡にいたマネキン。なぜかヨーロッパ系
さすがアレッポの人々が誇りにしている城だ。
帰り際、城の入り口でシリアの男性に声を掛けられた。
写真というので、てっきり自分たちの写真を撮って欲しいのかと思ったが、
携帯電話をユリに渡した彼はなんと、私の隣に並んだ。
一緒にいた彼の友達も入るのかと思ったが、その友達は撮影が終わるまで横で待っていた。
なぜか?シリア人の男とツーショット。
よっぽど日本人が珍しかったのだろうか?
記念撮影なら、友達も一緒に写ろうというはずだが、うーん用途不明。
しかも男の私と。ユリと一緒に映りたがる人はよくいるが、私とツーショットして何が楽しいのだろう。
撮り終わると彼らは満足して去っていった。
次に訪れたのは、アレッポの大モスク。
スークに隣接しているモスクは、ガイドブックによると入場無料ということだったが、
入り口できっちり入場料をとられた。
女性もスカーフを被ることなく入れる。ともあったがダメだった。
灰色のポンチョのような服を渡され、
頭にはマフラーをぐるぐる巻きにすることになったユリの姿は、まるで「ネズミ男」。
モスク内では履物を脱がねばならず、日に焼けた石の上を歩くと火傷しそうなくらい熱かった。
周りはみんなイスラム教徒なので、私たちだけやたら目立っていたに違いない。
モスクの近くには、お菓子問屋が軒を連ねる一帯がある。
おいしそうなお菓子が無造作に箱に詰められて並んでいる。
眺めていると、食べてみろ。と一つ、二つ手渡してくれた。
なかなかおいしかったので、1キロ、いくら?と尋ねるが、
どうやら20キロからでないと売ってくれないらしい。
結局、つまみ食いだけして去った。
なおもそこら辺りでぶらぶらしていると、
さっきのお菓子屋で会った青年が声を掛けてきた。
「お茶でもどう?」
もうそろそる帰るつもりだったが、せっかくなので、よばれることにした。
案内された先は、歯医者だった。
ドクター・サーメルと名乗るその歯科医とアブドゥル・アズィーズというその青年は、
私たち二人に紅茶をご馳走してくれた。
二人ともあまり英語がしゃべれないが、
日本から来たという私たちをとても歓迎してくれた。
その後、アブドゥル・アズィーズは、自分の家に案内してくれた後、
「ついて来い。」と私たちを外に連れ出し、タクシーを拾った。
「どこに行くのだ?」と聞くと、「ジャーマ」という。
ジャーマ?なんだそれは?
どっかに連れて行かれて物でも買わされるのだろうか?
と思いつつも、タクシーに乗り込むと、着いた先は大学だった。
彼は大学生で、自分の大学を案内しようとしてくれたのだった。
おそらく、友達に私たちを紹介しようと思ったのだろうが、構内を一通りまわっても、
誰も見つからず、結局なにもしないまま帰ることとなった。
大学のベンチで黄昏ていると、アブドゥル・アズィーズは、
「トゥモロー、ビラ、ビラ」と指で飲むマネをして言った。
まさか、飲みに行こうと誘ってくれてるのか?
イスラム教徒なのに、酒なんか飲んでいいのかと思ったが、
これはシリアの大学生と飲む、願ってもないチャンスだ。
と喜んでオッケーした。
明日、飲みに行く約束をした後、
彼はタクシーで私たちをホテルの前まで送り届けてくれた。
帰りのタクシー代は私が払うと言ったが、彼は「ノー、ノー」と言って、強く拒んだ。
シリア人のホスピタリティが身にしみた。(yo)



