ペトラのバス
前日のあの過酷な移動による疲れも癒えぬまま、
アンマンに戻ることにした。
9時過ぎに宿を出る。
宿からワディ・ムーサのバスターミナルまでは近く、
15分程の距離だった。
バスターミナルに到着すると、マイクロバスが一台停まっていた。
聞くと、どうやらアンマン行きらしい。
1人5ディナール(約815円)だった。
他の旅行者から話を聞いていたところ、
アンマンからペトラまでは3.5ディナール(約570円)でこれるらしい。
そう考えると5ディナールという数字は明らかに高い。
乗らずに次のバスを待つことにした。
バスには何時間も待っているのか、
もうすでにかなりの乗客が乗り込んでいた。
ヨルダンのマイクロバスやセルビスは、
乗客が一杯にならないと出発しない。
だから、たとえ目当てのバスに一番乗り出来たとしても、
結局、最後の乗客がやってくるまで待たされる。
後、数人集まれば出発するという状態が一番ロスが少なく、
ラッキーなのだが、この時が丁度その状態だった。
しばらくすると、宿で同じ部屋だった香港の二人組がやってきた。
彼らとは今朝、いろいろ話すうちに、仲良くなっていた。
同じくアンマンに向かうというので、
それならば一緒に行こうかと話していた。
一足早く出た私たちが、バスが来ているのに乗らない理由を説明すると、
彼らも一緒に待つ決心を固めたようだった。
再び、バスの運転手が声を掛けてきた。
しかし、どうしても5ディナール以下にはならなかった。
私たちと香港の彼らを入れると丁度定員に達するらしい。
すぐにでもバスは出発したいという雰囲気だった。
ふと、バスの乗客の中に1人だけ乗っていた日本人が声を掛けてきた。
なぜ、乗らないのかと聞かれたので、「高いから。」
というと、強く乗車を薦められた。
青年海外協力隊として現地で暮らしているという、
その人の話では、このバスを逃がすと次のバスはなかなかこないらしい。
「ホントにこないから。」と念を押された。
時間はあるので、次のバスまで待つつもりだったが、
現地で暮らしている人が必死に言うので、
これは乗った方が良いのかもしれない。
香港の二人にも説明し、急遽このバスに乗り込むことにした。
乗り際、その日本人女性に幾ら?と聞かれたので、
5ディナールと答えると、まだましだということだった。
ひどい時は8ディナール(約1300円)と言われることもあるのだという。
ちなみに現地価格は3.1ディナールということだった。
良くボッタくるとは聞いていたが、足元を見られたようだ。
選択肢がないのでは、仕方がない。
あるいは次のバスはすぐに来たかもしれない。
満員にならないと発車しないというシステム上、
一刻も早く出発したい乗客にとっては、
この先、来るかどうか分からない客を待つより、
私たちを乗せた方が確実ではあるだろう。
エアコンのない窮屈なバスは、ガタガタと揺れながら、
砂漠ロードをひた走った。
いずれにせよ、そう暗くならないうちに、
アンマンにたどり着けたのは良かった。(yo)
