ベドウィンの家 ペトラ遺跡その2
エル・ハズネを抜けると、
周囲にはあちこちに岩山をくり抜いて造られた、
住居跡や墓などが見えてくる。
それらは山のかなり上の方まで続いていた。
見ると、そんなところにも観光客の姿が。
私たちはとても登る気になれず、
ただ下の方から眺めるだけに留めておいた。
平坦な道を歩くのにも相当なものなのに、
山を登るとなると。。。
考えただけでも気が滅入る。
だが、この後にとてつもない難関が控えているとは、
そのときはまだ思っていなかった。
私たちは遺跡の最奥。
エド・ディルを目指していた。
再三現れるロバやラクダの勧誘をかわし、
暑さで疲れる体をところどころ休めながら、
柱の並ぶ道を過ぎると、「MUSEUM」という表示が見えてきた。
ためしに行ってみようと階段を登る。
すぐそこにあるのかと思ったミュージアムは、
なかなか見えてこなかった。
気が付くと結構な距離を登っていた。
たどり着いたミュージアムは展示品も少なめで、
大してみるところはなかった。
やや期待はずれな感を抱きながら、
入り口を出ると左側にはさらに道が続いていた。
「EL HABIS」と書かれている看板をさらに奥へと進むと、
ちょうど岩肌の影で心地よい風が吹いていた。
休憩するにはもってこいの場所だ。
すでに相当疲れていた私たちは、しばらく涼んでいくことにした。
ユリを置いて一人、
好奇心からさらに奥の断崖絶壁を進んで行くと、
なんと家があった。
庭には草木が茂り、花が咲いている。
こじんまりした、なかなかかわいらしい家だった。
しかも家の中からはテレビかラジオの音が聞こえてきた。
こんなところに人が住んでいるなんて!
驚いた。
さらに道は続いていたが、
帰ってこれなくなりそうなので引き返した。
再び岩陰で、誰もいない中、ユリと二人で涼んでいると、
さっきの家のほうからおじさんがやってきた。
おじさんは私たちのところまで来ると、
軽く挨拶をして、ミュージアムの方まで下っていった。
「アイム、ベドウィン」
そう言って、おじさんは笑った。
さっきの家はこのベドウィンのおじさんの家だった。
つづく(yo)
