筏下りで死にかける。
竹製の筏は五人乗りで、先頭には船頭。
あいだに客を二人(中国人夫婦とユリ)挟んで、
最後尾にも漕ぐ役の人が乗るのだが、
その役になんと私がなってしまった。
漕ぐといってもカヌーで使われるオールなんかではない。
ただの長細い竹竿を川底につきたて、
筏を前に押しやって行くのである。
漕ぎ方のレクチャーなどなく、
素人なので、見よう見まねで漕ぐしかなかった。
まぁ。大体はプロの船頭がやってくれるから、
私はオマケみたいなものだろう。
流れもきつくないし、適当に竿をつきたて、
筏を漕いでいた。
ゆっくり流れる筏に、
しばし、のんびりした気分になる。
が、それも束の間。
だんだんと流れが速くなりはじめた。
川にはところどころに岩がある。
船頭は上手いこと岩をよけてくれるのだが、
決してパーフェクトによけきれる訳ではなく、
たまにぶつかったりすると、
振動で筏から落ちそうになった。
流れがゆっくりなうちは、
まだ、立ってても耐えられたのだが、
速くなってくると、
しゃがんで筏にしがみつかねばならない。
そういう時、教えてくれてもよさそうだが、
船頭はしらん顔。
筏にしがみつくタイミングは、
自分で判断しなければならなかった。
少しでも判断が遅れると、川へドボン。
スリリング。
みんなそれぞれ頑張って、もち堪えていた。
遠くの方に、木の根が見えてきた。
根っこは川の中へ孤を描くように伸びており、
水面との間に隙間がある。
丁度、トンネルのようになっていた。
トンネルと言ってもその高さは、
人が寝そべってやっと通れる位の狭いもの、
さすがにそんなとこは通れないだろうなぁ。
と思っていると、
なんとなく、筏がそこへ向っているではないか。
このままでは突入してしまう!
やばい!と思ったが、
時すでに遅し。
必死で体を水平にするも、
持っていた長すぎる竹竿が災いした。
根っこにひっかかってしまったのだ。
落ちた。
覚悟を決めたその時、
奇跡的に竹竿が外れ、
私の体はそのまま筏の上に残った。
危なかった。
ユリも含め他の人たちは、
すばやく体を寝かせたので、
なんなくクリアできたようだが、
私は柄にもない船頭役のおかげで、
危うく落っこちるところだった。
それにしてもこの船頭。
やたらと岩にぶつかる。
プロなら避けて通りそうなものだが、
わざとぶつかっている風でもなさそうだ。
下手くそなのかもしれない。
それからも何度も岩にぶつかっていた。
一難去ってまた一難。
今度は、前に乗っていた中国人女性が、落ちた。
何度目かの衝撃で、
筏にしがみつくタイミングを誤ったのか、
気付いた時には、手の届かないところへ。
あっ。
その時、とっさに女性の旦那さんが
川へダイブした。
流れが速いので救出するのに手間取ったが、
川が浅いので、二人とも無事生還することができた。
中国人男性は男らしい。
もし私なら、
そのまま指を咥えて待っているだけだったろう。
中国人二人は全身ビショビショになって、
激流を下り終えることとなった。
私は途中で、地元のタイ人グループに、
(こいつらは結構やんちゃで、ことあるごとに竿で水を叩いて、
水しぶきをあげたりして、筏の進行を妨害してきた。)
川へ落とされそうになったが、なんとか無事だった。
それでも、ズボンとTシャツの一部が濡れた。
ユリも結構濡れていた。
帰りの車の中、ユリはタイ人グループの悪ふざけに怒っていた。
我々の筏にちょっかいを出してきた人たち。
カメラを手にして乗っているツワモノもいた。スゴイ
そう言えば、今日は七夕。
宿に帰って空を見ると、雨上がりの空には虹がかかっていた。(yo)
(別に七夕と関係ないですね。)
