書評『反省させると犯罪者になります』

 
 
 
ドキリとするタイトルです。
現に私も、息子に反省させていました。
息子が物を投げた時、誰かを傷つけそうになった時、『ごめんなさい』を言わせていました。
 
 
本の内容としては、
悪いことをした時、反省させる(=被害者に謝罪する、二度と過ちをしないよう誓わせる)ことは、悪いことをした本人の心の中の鬱屈した気持ちにフタをすることになる、と説いています。
 
 
悪い行動をしたら、反省をさせるのではなく、『なぜ、問題行動をしたのか?』と、自分の内面と向き合うよう、周囲の大人が一緒に考えること。本当な必要なのは、被害者のことを考えることよりも自分自身が受けた【被害】を吐き出させること。そうして、寂しさやストレスといった否定的感情を外に出すこと。
 
そうしないと、しんどさはさらに抑圧されて、最後に爆発し犯罪を招くと説いています。
 
 
 
また、子育てに関しての章では、例えば下記のような価値観の押し付けを危惧しています。
 
・男は泣いてはいけない、強くないといけない
・逃げることは恥ずかしいこと
・早く大人になるのがいいこと
・女はおとなしく振る舞うのがいいこと
 
これからの価値観で『しつけ』を受けていると、子どもは苦しさや辛さ、素直な気持ちを表現できずに抑圧していきます。こうして子どもは抑圧することを身につけ、後々問題を起こす原因になるといいます。
 
また、問題行動を起こす人は『ありのままの自分』ではいけないというメッセージをたくさんもらった人、ということも説いています。
 
・指示や命令に従ったらいい子
・毎回100点とれたらいい子
・親の期待に応えられたらいい子
・男らしく振る舞えたらいい子
 
そんな条件付きの愛で育った子は、条件に応えられない時の自分をダメな子と思ってしまいます。
 
同様に、親も『親として、しっかりしないといけない』と思うことはないか?親だから弱音を吐いてはいけない、と思い込んでいると子どもは弱音を吐けなくなるかもしれない、と説いています。
 
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受刑者の更生支援にも関わってきた筆者の優しくて重い言葉がたくさん並んでいました。
 
息子の育児については、息子が悪いことをした際に反省させるのではなく、何がそうさせたか?を受容の姿勢で聴きたいと思いました。
 
ちょうど先日、息子は何かにイラついて持っていたオモチャを投げたのですが、勢いに任せて『投げちゃダメでしょ』といいたいのをこらえ、『どうしたかったの?何かイライラしたの?』と聞いてみました。うーうーと泣いてましたが、息子のどこかホッとしたような表情を見て、怒るよりこの方がいいんだなと感じました。