これは、或る社長の物語。
その社長には、とても大切に思っていたK という人物がいた。
その社長は、K の事を心の底から大切に思っていた。
K の事を生涯守り抜きたいと、思っていたんだな。
でもある日、K は去って行った・・・その社長の元を・・・
社長はひどく悲しんだ。
引き止められなかった自分の不甲斐なさを恨んだ。
社長はオレのところへ来て、K が去った苦しみを涙ながらに訴えたのだ。
― なあ社長さんよ・・・そんなに悲しむもんじゃない。
そんなに自分を責めなさんな―
ひとしきり涙したあと、少し落ち着いたのか、
小声で礼を言って、その社長は去って行った。
去りゆくその悲しい背中を見送りながら、そっとオレは呟いた。
―なあ社長さんよ・・・アンタの人生は充分美しいぜ。
人生はまるで七色の虹で織られた織物のようだ。
楽しい色、うれしい色・・・それだけの糸ではダメなんだ。
そこに悲しみや孤独、辛さが織り交じって、
初めて深く美しい織物に仕上がるんだ。
だからそんなに落ち込むんじゃない。
アンタにはK との美しい思い出があるじゃないか。
今夜はK が好きだと言って、時々いっしょに食べたって言っていた、
ドライカレーでも食べたらどうだい。
楽しかったK との思い出にひと時浸りながら・・・
明日からはどうせ又、戦いの日々だろうから・・・
なあ、社長さんよ、お互い頑張ろうぜ!
苦しいかもしれないけど、もうちょっと踏ん張ろうや。
七色の虹の織物がほら、深く美しい光を放ちながら
織られてきたから―