ドラマ「朝顔」。東日本大震災で被災したお母さんの遺品を探しているお父さん。あの場面を見ると,つい涙が流れます。

 

 私は,3・11大震災直後の4・1付けで青森に赴任しました。

 

 その少し前に東北新幹線が青森まで開通し,「俺の赴任のために新幹線が開通したようなもんだな」などと考えていたのですが,その新幹線は,不通となり,新幹線で赴任することができなくなりました。

 

 東北自動車道も通れず,高速バスで赴任することもできません。唯一,使えたのが飛行機でした。飛行場は,青森市のはずれの山の上にあります。ちょっと不便なんですが,仕方ありません。

 

 引越し業者も受けてくれないので,やっと稼働し始めた宅急便で取りあえずの荷物だけ送り,飛行機で引越しました。現地でいろいろなものを調達しなければならないので,レンタカーを借りました。

 

 着任してすぐに,大きな余震で,青森市内も停電になりました。辺り一面が真っ暗というのは,とても怖いものです。

 青森県は,あまり震災では報道されませんが,八戸沿岸が被災しています。

 

 平成25年4月,青森から福島に赴任しました。

 

 福島県内には,いまだに,仮設住宅がたくさんあり,そこには,多くの人が暮らしています。そこで暮らしている方々にとっては,震災は,現在進行形です。過去の出来事ではなく,「今」のことなのです。

 

 着任してから,被災地の様子を確認したくて,相馬に出向きました。雑草に覆われた一角。そこは,かつて新興住宅街でした。雑草をかき分けてよく見ると,住宅の土台だけが残っています。それがずっと続いているのです。

 

 

 夢を抱いて,若い夫婦が家を購入し,幸せいっぱいだったかもしれません。

 精一杯生きて,最後に家を購入し,ここで残りの人生を楽しもうと思っていたのかもしれません。

 

 しかし,それが一切なくなってしまった,一瞬のうちに・・・・・・そう思うと,涙が止まりませんでした。

 

 被災した方々にとっては,過去の出来事では決してないのです。今の現実なのです。

 

 どうしても人は,いろいろなことを忘れていきます。そうでなければ,辛くて生きていられませんから。でも,震災のことは,忘れてほしくはありません。

 

 その後も,いろいろなところで地震や台風の被害が続いており,どうしても過去のことになりがちです。しかし・・・・・・。

 

 このようなドラマが時々放映されることで,人の心の中から,あの大震災が忘れ去られるのを食い止められるような気がします。