お疲れさまの笑顔と、お世話になりましたの涙をバッグに詰めて退勤する年度末。


朝の暴風雨が嘘のように、空は晴れ渡っている。長靴を履くのは気恥ずかしい。


見上げれば早咲きの桜は鮮やかなピンクの花を咲かせている。朝はこんなに咲いていただろうか。


足元にはツクシやカラスノエンドウ、ヒメオドリコソウ、その他名前のわからない野草がわさわさ伸びている。朝は気づかなかった。


すべてが新しく生まれたばかりのような春の夕暮れに、一年を振り返りつつ歩く。新年度を迎えるのはお正月とはまた違った楽しみと緊張感がある。


素敵な出会いに感謝して、新たな出会いに期待して、また4月から頑張ろう。


家の玄関先であっ!と気づく。

傘を忘れてきた。

今年度最後の失敗…。