「買ったよ」
「今から配達する」







都市高速を
夕日に向かって
走らせた



オレンジ色に
染まる道路




右に見える海
春霞に滲む
水平線










慌てる必要もないのに
何故だか早く
キミに届けたくて





キミに会いたくて










私はいつも
都合のいい女




甘やかしてる
分かってる





馬鹿なんだけどね





だって
「欲しい」
って言ってたから






仕事やら
遊びやら
家の事やらで
買いそびれているようだから






私が買って
キミのお店へ











「わざわざありがとうね」







駐車場まで
出てきた彼に
手渡した






ひと言
ふた言






再びキミは
職場へ戻った










「ありがとうね」





スグにLINEに
送られた文字





「いいの」
「私ができることはしたいから」
「お顔見たかったし」







送信して気づく








重かったかな








ただの
自己満足だったのに







居ても立っても
いられなかった







既読にならない
文字を
そっと消した








再び
都市高速を飛ばした





沈んだ陽に
染まる空を背に






帰宅ラッシュに
混み始めた道路











馬鹿だな







また
自己嫌悪












きっとまた







「都合のいい女だな」
って
思われるだけなのに







「ありがとう」
などと
口先ばかり










今だ
既読にならない
私のココロ






「私ができることはしたいから」

























mii