ちょっと前に、ほとんど目が見えていないシニア犬をお預かりする機会がありました。
若い犬達とお散歩できるのか?という不安がありましたが、足腰がしっかりしていてお散歩好きな子でしたので問題なく多頭で歩く事ができました。
この子は、多頭の一番外側の道端に近い場所を選んで歩いていました。
舗装と土等の境界は音の反射が異なるので、それと私の足音を頼りに歩いているようでした。
また音を頼りに出来ない時は、前を歩く他犬の臭いを追っているようでした。
リードは「いざというとき」以外はあまり頼りにしていないようです。
犬の耳や鼻の能力に驚きましたが、更にはフードの食欲を増すために少し混ぜた別種類のフードを一粒一粒を鼻で探して「それだけを食べる」という凄業を披露してくれた時は感動しました。
耳も鼻も我々人間とは別物の性能です。
世界を認識する方法が違っていて当然ですね。
◆本文
リードを引っ張っていると犬は「前のめり」になります。
リラックスして重心がニュートラルな犬は、「何処かに向かおうとする」とそのボディランゲージは「目線→頭→体→重心」の順に移行します。
リードを引っ張り興奮して前のめりな犬は、間をすっ飛ばして最初から「重心が前」です。
ついでに飼い主を引っ張っているので、自然にはあり得ないぐらいに前のめりになります。
ボディランゲージは犬の心の状態ですので、犬の心(重心)も前のめりで前方遥か彼方に投影さています。
悲しいことに「後ろ」を歩く飼い主に向くことはありません。
前のめりな犬は、他の犬に吠えられやすい。特に狭い通りなどでは、近くに来るまでは前のめりな犬が自身に向かってくるように感じられてしまいます。
ゼイゼイと荒い呼吸をしながら自分の方に誰かが向かってきたら人だって怖い。
一体そんなに前のめりで何処に向かっているのでしょうか?
「前に」です・・・。
こうしてリードをガンガン引っ張って歩き続ける限り、犬は周囲の世界を激しく興奮したまま体験し続けます。
更に、こんな犬から徐々に激しい興奮を引き剥がしてゆくとどんなことになるかというと・・・、
興奮が激しい犬程、飼い主の声が聞こえない犬程、実は超ビビリだったりするのです。
犬が完全に我に返った瞬間に、尻尾は股の間に落ち、脚がガクガクと震えだし、まともに歩くことすら出来ないことすらあるのです。
「あなた、どうやってここまで歩いてきたか覚えてる?」と訊きたくなります。
激しく興奮しながら歩く犬は、酔っぱらってハイになっている「不安な人間」に似たような状態なのかもしれません。
酔い(興奮)が覚めて初めて自身の居場所に気付き、何をしていたのか覚えてない・・・。
世界のことなど何ひとつ正しく感じていない。
ただ「興奮した」という感覚だけが体に残っている・・・。
お散歩とは「興奮してハイになること」であり、ハイになっていればとりあえず不安にならないし怖くない・・・。
しかも興奮する快感を感じている・・・。
人間なら病気の一歩手前です。
当然ですが、このような激しい興奮状態でどれだけトレーニングしても無駄です。
体験したこと全てが興奮と関連付けられます。何かをして・誉められ・オヤツを貰っても同様です。
例えば、
「“興奮しながら”オスワリをしたら誉められてオヤツが貰えた」
ってな具合です。
酔っぱらいに物理学の講義をしても全く無駄なのと同様です。
トレーニングだけではなく、社会化についても「激しく興奮していると学習できない」という点で同様なのです。
他犬にも警戒され吠えられたり攻撃されたりしやすく、正常なコミュニケーションが成立していないので犬嫌いになる可能性も大です。
全ての体験は「興奮した」という体の感覚としてのみ記憶されます。
ではどうすれば良いのでしょうか?
リードが緩み、リラックスした状態で世界を体験出来るように導いてあげることが大切です。
☆Palmaホームページ
http://palma-niigata.jimdo.com/
☆Palma Facebook
https://www.facebook.com/pages/Palma/753735091309033
(★Palmaの日々の様子をUPしています。公開ページなのでどなたでもご覧いただけます)
copyright©2013-2015 Palma All Rights Reserved
Android携帯からの投稿