2040年の労働者数が2022年度より956万人減少するという推計を政府が発表したそうです。一人当たりゼロ成長・労働参加現状モデルにおける値です。労働力率は3ポイントの減少です。

数字の増減を結果として現実への影響を考察したとき、絶対値の減少にどんな意味があるのだろうと思います。



国の2024年1月労働力調査によると労働力人口6877万(役員含む)のうち、完全失業者は163万、非正規の職員(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託、その他)は2146万です。
 


一人当たりゼロ成長・労働参加現状モデルでは2040年の労働者数は6002万で、2024年1月との差異は875万です。

日本では非正規社員は技術の流動性と人件費の調整弁の側面を持たされていたと思います。目的にあった人材を必要期間だけ雇って不要になれば解約する。パートやアルバイトはそのもので、派遣社員や契約社員、嘱託も該当します。雇用関係がこじれた場合、パートやアルバイトは極端なシフト、派遣社員や契約社員は派遣切りや契約打ち切りが社会問題になっています。

6877万人のうち、2146万人が不安定な非正規社員、163万人が完全失業者です。17年後に労働者が875万人減るとして、理論上はすべてが非正規社員と完全失業者に分配される可能性があります。その場合、雇用は安定・固定化します。逆に正規社員に分配された場合は雇用が不安定・流動化して、完全失業者はそのまま残ります。

上記を踏まえると労働者が減ること自体と高齢化により労働の質が変わることは切り分けた方が良い気がします。もちろん、高齢者の方々の過去の実績とは切り離されてしまう年金や医療、地域サービスの労働者負担は完全失業者を除いた労働者数そのもので議論可能だと思います。

蛇足ですが、労働の質を担保する国内大手企業の持続的な成長や海外半導体工場の誘致などは先を見据えていると思います。結果の成功失敗は分かりませんが、他国の成長による緩やかな相対的没落は避けようとされています。

あと、ただ人口が増えていたら完全失業者という労働者だけ増えていた可能性もあります。人口減少自体を批判するとき、無自覚にそれを肯定しています。