木が生えている
大きな木が立っている
銀杏 鈴懸 木蓮
楓 欅 楠
様々な木々が悠然と
矮小なる人間どもを
見下すかの如く立っている
木はその内に
管を持っている
根から幹へと
走り抜けた
篩管と道管は
すべての枝葉に
張り巡らされている
道管は
根が大地から吸い上げた
「伝統」を運び上げ
空間の占有を求めて
分岐を繰り返す枝や
日々を食んで繁りゆく
数多の蒼葉へと
行き渡らせる
伝統を運ぶ道管は
硬く頑丈となり
木の体全体を支えてもいる
そして篩管は
葉が受け取った陽光に宿る
慈しみから醸し出された
「創造」を隅々まで運び
木の持つ生命力を支える
木はその根や幹を
「伝統」に支えられ
その置かれた世界の中で
時間と空間の要請に応じて
幾本もの枝を分岐させ
そこに降り注いだ慈しみを
繁る蒼葉が受け取り
そこで新たなる
「創造」の力が生み出される
そして悠然と立つ
銀杏 鈴懸 木蓮
楓 欅 楠のような
様々な木々もまた
久遠の時を貫く
目には見えない
大いなる樹の枝先に繁る
数多の蒼葉の一枚一枚なのだ
その大いなる樹もまた
久遠の時を貫く
目には見えない
篩管と道管を持っている
そして
「伝統」と「創造」が
今この瞬間も
留まることなく流れている
その悠々たる流れは
矮小なる人間どもを
見下すかの如く
生命の深い力を乗せて
どこまでもどこまでも
留まることなく
霧に霞む永遠の彼方へ
力尽きることなく流れてゆく