乙一
ZOO 2


1には多少劣るか。
感想としては1と全く同じ。

オマケ的に収録された、全5,6ページの超短編
「むかし夕日の公園で」が一番印象に残った。
この短さで乙一らしさを発揮して、
なおかつ奇妙な読後感を残してくれるのはまさに天才の仕事。


乙一
ZOO 1


帯には「何なんだこれは!」と大きな文字で書かれている。
まさにこの本を読んだ感想はこの通りで、
泣けるとか笑えるとかそういう単純なフレーズで表しがたいたくさんの感情が一度に渦巻く。
だが、後に残る印象は決して悪くはない。

各短編のジャンルはいずれもばらばらだが
どれも乙一らしさは存分に発揮されている。

しばしば「天才」と評される乙一だが
本作はまさに天才の名に相応しい傑作。
一読の価値アリ。

「SEVEN ROOMS」が一番良かったかな。


東映
フライ,ダディ,フライ 特別限定版 (初回限定生産)


まあ良い映画なのだが、原作のスピード感、爽快感が好きな俺としては少し不満。
もっとテンポの良い演出にしてみても良かったのでは?

原作の金城一紀の作品はセリフも良いのだが、
どうも映像にすると硬くなってしまう。
その点「GO」の宮藤官九郎なんかは
上手い具合に軽さを残した良い脚本にしていたんだけどな。

ま、悪くはない映画、という程度かしらん。


乾 くるみ
イニシエーション・ラブ


まさに衝撃作。
ラストの直前までは、三流恋愛小説。
物語の整合性すらちゃんと取れてない。ひどいもんだ・・・と思いきや。

ラストの2行で印象は一変。
読み終わった次の瞬間には、巻頭に戻ってまた読み始めてしまう。
この感じ、映画「ユージュアル・サスペクツ」のよう。

改めて読み返すと、伏線の多いこと多いこと。そして整合性は完璧に取れてくる。

ネットで見つけたレビューの上手い表現を借りると
「こっちが橋の話をしてるのに、向こうは箸の話をしてたみたいな」話。
最初は辻褄も合うんだけど、読み進めるうちに違和感が。
そしてその違和感が解けたときの爽快感こそ、この本の醍醐味。

おすすめの作品です。


伊坂 幸太郎
終末のフール

伊坂幸太郎の新作。
「8年後に小惑星が墜落し、地球が滅びる」と予言されてから5年が経った秋の、仙台のある団地に住む人々を描いた短編集。

このテーマを考えた時点で成功は約束されていたわけで、
期待を裏切らず、今回も良かった。

短編集といってもそれぞれ完全に独立していなくて、
微妙にリンクしてるのが伊坂らしい。

「太陽のシール」が一番良かったかな。
('06 3/26)


再読。
印象は変わらず。
「太陽のシール」は本当にあたたかい作品だ。
伊坂の日本語感覚もいつも以上に冴えわたってる感じ。


「三年逃げ切ればいいんだろ?楽勝だぜ」




アミューズソフトエンタテインメント
セルラー

フォーン・ブースの脚本家が手がけた、またも電話がテーマのサスペンス。今度はケータイ。
フォーン~はとにかくあのアイデアの妙がなによりのウリだし見所だったと思うのだが、
こちらは単純に楽しみながら、フォーン~でも見せた斬新なアイデアが折々に盛り込まれた
出来のいいハリウッド映画だった。

驚きはフォーン~より少ないけど、こっちの方がライトに楽しめるんじゃないかな。


荻原 浩
僕たちの戦争

第二次大戦の終戦一年前の航空隊員と、戦後50年の典型的バカな若者の心が入れ替わった!
二人の運命はいかに!?
っていう話。

荻原らしいユーモアは健在。
特に50年後にタイムスリップしてしまった吾一が、初めて見る未来社会に戸惑う様はかなり笑いを誘う。
久々に電車で吹き出しそうになってしまった。

全編通してユーモラスな調子で書いてはいるのだが、
そういった衣に包んで、現代日本への鋭い指摘も忘れない。
バリバリの軍国少年だった吾一が50年後の渋谷に来てつぶやく
「これが俺たちが命をかけて守ろうとした未来なのか・・・?」
という(感じの)言葉。これには少し考えさせられた。

泣ける話かといえば否だが、萩原浩の作風が好きなら気に入るだろうと思う。