今後レビュウを書きたい本・映画のリスト。
自分用のメモ。

華麗なる一族、宣戦布告、麻雀放浪記、中原の虹、フェイク、第三の時効、フィッシュストーリー、クラインの壷、図書館内乱、図書館危機、葉桜の季節に君を想うということ、影踏み、春のめざめ



フラガール (出演 松雪泰子、豊川悦司)


「リトルダンサー」とか「ブラス!」とか「遠い空の向こうに」とか、
洋画(特にイギリス映画)ではよくあるタイプの町おこし映画。
そういう映画のパターンをよく心得たいい映画だと思う。

だがこの映画の何より素晴らしいのは、主演の蒼井優。
まさに熱演。最初はもっさりした田舎娘にしか見えないのに、
フラを学んでどんどん輝きを増してゆく。
最後はすごく魅力的な女性になっていた。すごくいい女優だと思った。

松雪泰子やしずちゃんなど、他の出演陣も素晴らしい演技。
キャストの時点で成功は半分約束されてたかもね。
http://www.aishiteru.jp/

つまらん。
原作を読んで、そこそこ気に入ったので見てみたけれど。
これはひどすぎる。
宮崎あおいの不思議ちゃんキャラも腹立つし
玉木宏のワンパターン演技も見ていて寒いし
みんなの憧れの美女役に黒木メイサは明らかに役不足だし
脚本は展開が速すぎて観客を全員置いてけぼりにしてくし
もうどこをとってもひどい。


以下ネタバレあり


ファンタジー映画における嘘ってのは
ファンタジーだからこそ外堀を丁寧に埋めないとしらけてしまうと思うのだが、
この映画は真逆。
もう大学生同士の会話も登場人物の造形も、まったく現実味がないから、
ヒロインの「恋をすると死ぬ」病気のくだりも
見てるこっちとしては唖然とするしかない。
もう典型的バカ映画ですわ。

宮崎あおいのかわいさおまけして一つ星の評価。
本来なら星なしでもいいや。



しっかし、こんな映画でも館内ではすすり泣きが聞こえたんだが
泣いてた人たちはどこに感動したんだろう?
真剣にわからん。


品川 ヒロシ
ドロップ


期待値は低かったけど、以外に楽しめた。
品川庄司の品川の自伝的小説。
ワルそうに見える不良たちの、
隠れた優しさや友情、男気なんかを丁寧に描いている。
題材としては使い古されたものだけど、
自伝的小説っていう触れ込みが説得力を与えてくれる。
いい気分で読了できる佳作。



島田 洋七
佐賀のがばいばあちゃん


筆者がばあちゃんの愛情を受けてすくすく育ったのは分かるし
いいばあちゃんなのも分かるし
現代では失われた、昔の時代なりの良さがたくさんあったのもよく分かる。
だがあまりに筆者の思い入れが強すぎて鼻につく。
現代社会の批判に繋げる手法があまりに古臭い。
とりあえず、巻末のばあちゃん名言集はやりすぎでしょうw


貴志 祐介
クリムゾンの迷宮


謎の土地にまぎれこんだ男女9人が冒険して戦う話。

こと本を読んでいる間の時間を楽しむことだけを求めるなら、文句なしの五つ星。
あっという間に読めるし、実際読んでしまう。

子供の頃、RPGやゲームブックに夢中になった人なら誰でも楽しめるはず。
暇つぶしには最高にもってこいな一冊です。



原田 マハ
カフーを待ちわびて


「日本ラブストーリー大賞」を獲った作品。
沖縄の名も知れぬ小さな島の民俗を丁寧に描いているのが賞を獲った決め手か。
この賞では、大賞の作品を映画化することに前々から決まっていたらしいのだが、
要するに映像化したときのメリットも鑑みての大賞なんじゃなかろうか。

何が言いたいのかというと、大賞には値しないのではないか、ということである。


といって決して悪い作品ではない。
さくっと読んで暖かい気持ちになれる佳作。
ラストはちょっと・・・だけど。

ま、そんぐらいの作品。


宮部 みゆき
名もなき毒


毒物混入事件を巡る人間ドラマ。

心理描写が巧みな宮部みゆきらしさは本作でも健在。

さらに今回感じたのは、作者の言葉選びのうまさ。
文章がとりたてて上手いというわけではないのだが、
文脈に適した単語を選ぶのがうまい。
このへんやはり女性作家らしい繊細さと言えようか。

本作に関しては、総じて軽めのタッチで描かれているのだが、
ラストにかけて読者をひきこむ腕はさすが。

時代小説やファンタジーものなど、妙な方向にそれがちな宮部みゆきだが、
現代ミステリーにかけては文句なしに一流の大作家だと改めて感じた。


浅田 次郎
王妃の館〈上〉


浅田次郎は大好きな作家の一人。
「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」等の正統派歴史ロマンも素晴らしいが、
やはりこの人の本領は「きんぴか」や「プリズンホテル」などの笑って泣けるピカレスクものにあると思っている。

さて、この「王妃の館」は、前者のような漢くさい正統派小説としての一面を持ちつつ、
後者のような笑いもふんだんに盛り込まれているという、
まさに俺のようなファンにとってはど真ん中の小説。
浅田作品の中では「オー・マイ・ガァッ!」と同じ位置づけか。

ということで、本作も素晴らしい出来。
ストーリーは、超豪華ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」へ
ツアーで訪れた日本人観光客たちが織り成す現代パートと、
ルイ14世とその子供ルイ・ド・ソレイユ・ド・フランスをめぐる17世紀パートの二つで構成される。
作中の超人気作家「北白川右京」の作として描かれる、17世紀パートでは
いつもの浅田節で読者をぐいぐい引き込みつつ泣かせ、
一方の現代パートではこれまた浅田次郎らしい笑いで楽しませてくれる。

やはり、浅田次郎は長編を書いてこそ、であることを改めて認識させてくれる一冊。
最近は短編が多いが、もっと長編にも取り組んでいただきたいと強く思った。


人格転移の殺人
西澤保彦


大した作品ではないと思う。
トリックは成立しているものの、謎解きの展開が下手なのか
特に「驚き」は与えられることなく終わる。
といって事件以外のパートが優れているわけでもない。
「僕」とジャクリーンの恋などもはや邪魔なエピソード。
全体的にぐだぐだ。

小説としての評価とは別に、
心理学の実体論と反応論の話が興味深かった。