その光無い瞳には
あまりにも青い空が移っている
瞬きのない
真っすぐな眼差しは
凪模様の湖畔のよう
けれども同時に
深く、深く沈んだ漆黒のその奥に
光は
届かなかった
かなしいことも
うれしいことも
いとおしいことも
うらやましいことも
いらだたしいことも
みんな
みんな・・・
まっしろに
まっさらになっていく
ぼくのめのまえには
そらが、
ひろがって
ぼくのみみもとで
なにかをうたっている
すぅっと
こころからなにかがきえて
すぅっと
あたまのなかからざつおんがきえる
あぁ・・・
もう・・・
どうでもいい
てをさしのべようとか
たすけてほしいとか
いわない
いわないから
どうか
ぼくに
せいじゃくを・・・
せいじゃくをくれないか
どこまでも
どこまでもつづく
いつまでも
いつまでもつづく
しずけさを
ぼくのまえに
ひろげてほしい
そうすれば
みぎうでがとばされようと
ひだりめがえぐりとられようと
どうでもいい
どうでも、いいんだ・・・
夕焼けが
影を伸ばす
燃えても
燃えても
見つめ続けるその瞳
月が映り
太陽が映り
星々
命が
映し出されても
その瞳に
波紋の1つも浮き上がらない
遠くで舞い上がる砂埃
遠くで舞い散る火の粉
虫たちが
これでもかと
ゆらしても
そこから
動くことはなかった
乾いて
乾いて
乾いて
か細くなって
どこぞの木々と変らぬころ
その、小さな、人影は
ころりと
崩れた
by梟霊