笑い合うこともない
目を合わせることもない
背中合わせのまま
離れていく
その距離は
そのままのこころの在り様だった
お兄ちゃん
お兄ちゃん
あぁ…大好きだった大きな背中も
手の平も
夢の中で駆けていく先にしか
もう存在しない
どこか近づきがたい
その姿
それが大人になるってこと
それが大人になったってことだと
理解した
一つ失い
また、一つ失い
下げていく頭の先を
通り過ぎる知り合いを
今後とも覚えているかと言えば
そうではない
親が居なくなれば
自然と僕らも
疎遠になっていくのだ
あぁ…思い出の中で
兄を呼ぶ私は
あの太陽の光を浴びて輝いている
駆け寄ったあの頃の
優しい想いでは
もう、セピア色のアルバムの中
僕らが着込む白と黒の喪服のように
最後はきっと
過去の人
戯れに過ぎた幼いころは
幾ら仲が悪くなろうとも
忘れがたい宝だ
あぁ…
大人になれば
世間は狭く
世の中は低い
あぁ…
大人になれば
世界は遠く
世の中は暗い
見渡す限り
スズランのように俯く人ばかり
向日葵のように上を向くことが出来るのは
真直ぐに
向くことが出来るのは
あの頃
だけだったなぁ…
なぁ
兄さん…
by梟霊