今日も
変わることのない
この道
この空
この大地
私自身
触れ得たくとも
触れられず
雨は
私を透き通る
押され得たくとも
押されることなく
風はずっと遠くへ駆け抜ける
朽ちていく私の身体と剣
そして
鎧
我物顔で根を張る
名も知らぬ草花
あぁ…
負けて久しく
死んで久しく
忘れていたことを思い出した
好いた者と
歩むこと
愛いた者と
眠ること
なにか約束事をしたような
しなかったような
何というか
曖昧で
空っぽのような胸の影に
ひっそりと燃える何かを
私は
ずっと
見つめている
草原に輝く
鬱葱と茂る森に差し込む
あの太陽というものが
影を伸ばさぬ彼を見た
風もなく
物静かな一時
見つめ合う二つの命
互に眩しいというものが無く
互に何か懐かしさを覚えている
空高く中に差し掛かるころ
月がそれを遮った
当りが暗くなり
見上げる男はくっきりとその輪郭を現した
長く
長く続く暗闇
唯
それを男は羨んだ
なぜなら
男には
愛しき人との約束に見えたのだ
誓いの先の
永遠を約束するその光景に見えたのだ
はたと我に返る
霞みがかった記憶が
次々と浮かび上がる
そうだ
帰らねば
そうだ
帰らねば
だがどうやって
未練という鎖を断ち切れば
考えに考えた
それでも
積もりだした想いは
焦りを生む
見えるはずの無い
人へ
通り過ぎていく
人々へ
必死に呼び止め
振り返る人へ
お願いをした
けれども
一度たりとも
その願いは叶ってはいない
男は
遣る瀬無さと切なさで
狼の遠吠えにも似た
寂しい声で
泣き出した
その道を
誰も通らなくなった
その時代も
泣き続けていた
by梟霊