りんご | 梟霊のブログ

梟霊のブログ

適当に詩をUPします。
評価に、興味なし
フクロウ大好き
きのこ大好き
山菜大好き
ハーブ大好き
とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

 

 

ずっしりと沈み込む空気は

我々の頬を切り裂き

息を白くする

 

朝は、青白さより

その果実の紅のほうが

鮮やかで

何より

朝露に溺れるその肌は

美しく輝く

 

それ見てみろ

太陽が昇るぞ?

さぁ

さぁ

さぁ!

燃え上がるリンゴ園のお出ましだ

 

その言葉の後に

燃え上がるにしては

静かで

紅にしては

黄金に輝く林檎の果実が

どこまでも広がっていた

綺麗だった

 

 

さぁ、みんな

もぎ取りだ

引き締まった彼女たちを

不貞腐れないうちに

もいじまおう

傷つけないように優しくやるんだぞ?

落さねぇようにな

かごはもったか?

運び手は・・・

あぁ、あいつか

俺たちは選ぶ

よし、散った散った

 

大人たちの慌ただしい足音

近所のお手伝いさんたちの

しょうもない会話

笑い声

響くラジオの音

運び手のエンジン音

その果実を中心に出来上がる

不思議な調和

不思議な合唱

不思議なオーケストラ

気が付けば

夕空で

気が付けば

薄暗い

只の木となり

葉となった木々の間は

薄暗さばかりが目立ち

どこか恐ろしく

なぜか寂しい

でも

林檎1つ丸かじりする

帰路につく私の瞳には

あの美しい姿があり

シュンとうつむく木々たちに

脳裏に焼き付いたそれを被せながら

通り過ぎていった

 

 

あの日から

巡り巡る

あの頃の山肌には

なにもない

 

あの人々の多くは

遠い旅路

 

より遠くから眺めれば

市松模様のような姿

虚しく思い

思い出で覆い隠した

これが現実

これが真実

あの頃のような

りんごにあった笑顔は

もう

ないのかな・・・

あの頃と変らずに丸かじりする

赤いりんごの

後味は、いつもより

酸っぱいように思えた

 

 

 

by梟霊