あの人は
どこへ行くのだろう
あの人は
どこへ行くのだろう
追えども
追えども
追いつかぬ
大人という人は
どこへ行くのだろう
あの丘の上?
あの海の向こう?
それとも
あの空の上?
あの人は
どこへ
往くのだろう
あの人は
どこへ
往くのだろう
あの木の下に
影を溶かして
風に揺れる
人
大きくうねる水と
聳える岩に
影を溶かした
人
ある時
散歩中の公園で
立ち止まり
見たままに
僕は
有りの儘に
僕は
母に聞いた
見上げると
降り注ぐ陽光とは真逆
その顔は真っ黒に染まり
決して
浮かび上がることはなかった
何も答えず
柔らかな僕の肉を握り
その場所から
無言で
遠ざかっていく
あの人影は
結局
どこへ行ったのだろう
あの人影は
どこへ行ったのだろう
好奇心だけを置き去りにして
僕は
その日
母に叱られた
何を言っているのか
解らないくらいの早口で
ただただ
突っ立って
僕は
言葉の雨風を受け続けたんだ
あの人は
どこへ行ったのだろう
あの人は
どこへ行ったのだろう
もしも
天国というのなら
僕も
連れて行ってほしいな
もしも
地獄というのなら
僕は
見るだけでいいかな
でも
この星のどこかへ行っているのなら
僕は
きっと
行ってみたいと
願うだろう…
梟霊