いつからか
自我が目覚め
いつからか
私を私として認識していた
生前の記憶など
ほぼない
記憶
で
あるかどうかはわからないが
未だ持っているのは
ぐるぐると胸の奥当りを蠢く
どす黒い何かが
人影を追う度に
膨れ上がり疼く
一つ
ワタシノコトヲ
誰かが
オウル
と呼んだ
それは
今
目の前に居る
濡れた窓ガラスに
恋しさを映した
物静かに燃える
ただの
女の子だった
冬の中
当りは雪で覆われているにもかかわらず
季節外れのその雨を
恥ずかしむかのような
心
に例えた私は
見えるはずもない
彼女に背を向けて
ゆるりと
影に溶け込んだ。
by梟霊