なにもかも
なにもかも
捨てて
忘れて
独りになりたい
一人きりになりたい
ふいに
そう思った…
私の手のひらを
握っている
鎖の様な縁
瞳の奥底で燃えている
楽しかった
記憶
嬉しかった
温もり
ズタズタに引き裂かれる苦痛の中に在っても
穏やかに揺れる
ぼろぼろに打ちひしがれている中に在っても
朧げに燃え続けている
抱きしめたいと
手を伸ばしても
それはそこには存在しない
幻
あぁ、痛みと寒さ
ジワリと滲む
頬の温もりは
本当の涙
何のために生まれて来たのか
どうして、生まれて来たのか
生まれてきてしまったのか
泣きながら
泣きながら
過去と未来の間に堕ちて行く
深い深い谷の奥底に
響く子供の泣き声も
見向きもしない
他人からは
悍ましい悲鳴
離れていく
私は近付いていく
縮まらないその小さな距離は
どんなに踏み出す勇気が在っても
きっと
この星の果てに行くよりも
遠いだろう
なにもかも
なにもかも
捨てて
忘れて
独りになりたい
一人きりになりたい
ひとりになった後は…
静かに
消えてしまいたい…
この星からも
この時の中からも
全ての記憶から
誰かの思い出から
居なくなって
楽に、なりたい…
でも
そう都合良く
背中を押してくれる人なんて
居ない
by梟霊