例えよう
もし
周囲の人混み
その一人一人が
言葉という銃弾を携えた兵士とするならば
情報化が進んだこの世の中の
どこに
平穏平和があるのだろう
そうは思わないだろうか・・・
周囲に敵がいないという現実が
周囲全てが敵となる非現実に変わり
ふと目を閉じた瞬間に広がっている
途方もない惨劇の海
終わりのない荒野
はて、平和とは何だったのだろう
今・・・
再び、始まる悲劇に
音はなく
人、一人を容易く葬り去る
戦場が目視されることなく
延々と拡大を続けている
知らなくていいことが
否が応でも目の前に転がる
知りたくもないものが
否が応でも向かってくる
文字として
音として
表現として
濁流のように押し寄せ
気が付いてからでは
最早、手遅れ
正義も悪もないだろう
気まぐれに見つかり
気まぐれに叩かれ
気まぐれに貫かれ
気まぐれに殺していく
この社会は
まったくもって
騒々しい
しかもだ
嘘か真実かまで考えるものは
意外と少ない
現実という実感が薄いのだ
私には
これほど恐ろしく思えるものはない
銃弾を浴びせても笑っていられる世界が
たった一枚の画面の向こう側に在るという事
考えてみてほしい
死体がそこに在るのに
笑った人間がその隣に平然といるのだ
現実では
それはあきらかにおかしいことだ
いけないことだ
断罪されるべきことだ
だが
非現実では
まだまだ許されている
あぁ・・・
なんと争々しいことだろうか
あぁ・・・
なんと薄情なことだろうか
我々は
戦争など起こさないが
我々は
戦場に立たされ続けていたのだ
この世の中は
便利になり過ぎた
便利になり過ぎたからこそ
人は、それに飲み込まれ
死ななくていいものも
死んでしまうのだろうなぁ
by梟霊