見渡しても
見渡しても
其処には誰もいない
どこからともなく押し寄せる
風の泣き声に乗って
灰色の雪が
顔を叩きつける
僕の心は頑なに他人を拒む
その笑顔の影から
僕は、不信を滲ませた皺を
眉間に寄せて
じっと
見上げ続ける
ただひとりきり
誰もいない、空間だけは
裏切りはしない
たとえそこが
死地への一本道だとしても
静寂が呼んでいるなら
僕は
其処を目指すだろう
僕を想い
僕を愛し
僕を抱きしめてくれる人が
この世界に
いたとしても・・・
滑り落ちて
朽ちてしまった果実を
誰が口にしようと思うだろうか
誰が、拾い上げようと思うだろうか
思わないだろう
僕の心は死んでいる
僕の心は朽ちている
僕という形だけが
今という時間を彷徨っているのだ
あぁ・・・
見上げる空が青い時代は
とうに過ぎ去り
全てが灰色の
一面が灰で覆われた
僕は、私となり
今この時を
吐息と共に過ぎて行く
鳴りやまない悲鳴を
空っぽの体の中で響かせながら
byキケロ