夢酔い蝶
全てが霧に覆われた世界に
轟くのは
淡々と走る機械の音
私と蝶の間には何もなく
ただただ蒼い
空間の中を
力なく羽ばたく
追えば離れ
逃げれば追われ
この虫の意味不明な行動に
首を傾げるばかり
握りつぶしてしまいそうな
柔い体を震わせて
何を求めて
離れぬのか
一度、交わせぬ言葉も
交わしてみたいと思ってしまう
陽は登る
辺りは黄金に包まれて
夢酔い蝶は
落ちて行く
静かに
静かに
落ちて行く
だが
大地まで
僅かなところで
花火のように散って逝った
のらりと顕れた巨大な機械は
その散り様すら目に入らぬようで
こうこうと
霧の奥へと消えていく
あぁ・・・
なんと儚い者か
あぁ・・・
なんと切ない者か
あぁ・・・
なんと
あぁ・・・
なんと
無力なモノか・・・
今を生きる
この私のように
無力なモノか・・・
byキケロ