死光 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

死光




触れて、知り
見て、理解した
物心も付かぬ
赤子だった頃の私が
すぼめながらに見上げた
その人が
母、なのだと・・・
大きな瞳が細く潰れ
温かな光が頬を伝う
それを
嬉しいと理解できるのは
まだ
先のことではあるが
本能でそうなのだと
読み込んだ

見て、知り
触れて、判る
スギナの葉の一粒一粒に太陽が在り
見渡す限り
翡翠色に染まるある朝の草原を
靴の奥底まで濡らしながら
駆けていた
この時
どうして笑っているのか
どうして嬉しいと思っているのか
解らないまま
背中の向こうで困った顔をする
二人を
大きく手を振りながら呼んでいたのだ
おそらく
こころというものを理解しないまでも
込み上げる何かが
生きることへ
感謝していたのだろう

触れて、感じ
見て、判る
想うことで、求め
包み込むことで、理解する
あなたの笑顔
あなたの形
あなたの声
あなたの想い
厳かな世界に囲まれて
誰一人
何も言わず
過ぎていく私たちを見つめた
二つの影が伸び行く先は
あの太陽とは違う
真っ白な光
重なるものの重さを感じて
幸せという物の一つを
掴んだ気がした

共に見て、考え
共に歩み、理解する
触れて、知り
別れて、悟る
最後の在り方
最愛は最後まで最愛であっても
逝くは時は、どちらが先か
夕暮れ時の寂しさに似た
オレンジ色の例えようのない
声にならない声で
母の時も
父の時も
叫んだ
子供の頃に通るモノとは
何となく違う
熱く、そして、冷たい
そう・・・
秋という季節が延々と続くような心地
安らかでしわしわの顔を見つめて
さよならよりも先に
ありがとうと言ったのは
なぜなのだろうと
考えることがある

こころで、感じ
想って、理解する
自由無き身体を引きずって
ただの椅子に座る事さえ苦労する
私が逝くのが先か
おまえが逝くのが先か
なんてのがもうどうでもよく
刹那と言う一分一秒が
なんとも素晴らしく思えてしまう
振り返る場所は今であっても
振り返ったその先に広がる景色は
永遠なのだろう
ただ・・・
同じ場所に帰ることが出来ない寂しさは
溜息の長さほど募っていく
もどかしさも
わずらわしさも
あと、わずか・・・
本当に長いようで短く
短いようで、長かった
瞳を閉じれば
明日が来るとは限らない
いつも見上げる天井の
二重の輪の蛍光灯
それが
死という暗闇から
私を覗きこむ
唯一の光
あぁ・・・
なんとも贅沢で
至高の一時だろう
何もせず
ただ、あの時のお前を見つめるかのように
唯の光を愛おしむことは

おかしくもあり
おかしくもなし
触れることも
見ることも
できず
そこへ至った者にしかわからない
見慣れた者たちに囲まれて
その時を待つ間
もう一度と思えるのなら
幸せだったのだろう
もういいと考えたのなら
不幸だったのだろう
でも
今は
陽だまりの中に居るような今だけは
幸せだったと
想いたいものだ・・・




byキケロ