裏の月
ふと、外を眺めたくなった
先ほどまで
窓の外では
雨の戯れる音に満ちて
蛙たちのささやきが
遠くから流れ込んできていた
だが
いつの間にか
静寂に覆われて
どことなく明るい
カーテンを勢いに任せて開けると
時経ていない道路が湖のように
潤んでいた
向こうの駐車場に止まっている
どこかの車の影が
しっかりと見て取れた
月も高らかに掲げられた輝きを
漆黒よりも深い水面に
しっかりと映しこんでいる
あぁ・・・
これは夢だろうか
街も、向こうの山々も
私の住処でさえ
今この瞬間だけは
巨湖の幻想という名の檻の中に
閉じ込められている・・・
ただそれも
たった一匹のねこが
目の前を
何処かへ走り去ると同時に画いた波紋の
波及と衝突の渦へと消えていった
byキケロ