走馬灯
どれだけの季節を
巡ったころだろう・・・
会いたくもなかった
学友と
久方ぶりに話をした
居酒屋の
賑やかな世界の中で
あの頃の冷めきった空気など
何もなかったかのように笑い
そして
別の場所でも
歌い、笑い
楽しいと思えた
午前0時を過ぎたころ
まるで夢でも見ていたかのような
静けさの中
街灯の
所々で手を振った背中
暗闇に溶け
見えることがなくなるまで
じっと眺めていた・・・
所々にタクシーが止まり
酔いが回った客を
次々と拾っては
小道の奥へ消えていく
一滴も
飲むことのできない
不公平な身体を揺らし
独り
仄暗い夜道をしばらく歩く
所々消えかかった記憶の欠片が
シャボン玉のように
俺の周りを漂っては
何かにぶつかって割れていく
同時に
日にちを跨いだ思い出が
新たに生まれ
何となく
らしくもなく、一瞬の煌めきに
心が、酔いしれた気がした
それが
ただの一度だって
溢したことのない
満足を含んだ溜息を生み出した
煙草の一息の煙ように
ほぅっと
味わうかのように吐き出され
抜けきった後には
白く濁った水蒸気が
物足りなさそうに別れた場所を
眺めていたんだ
振り向いた
俺が
そう、思ったんだ・・・
byキケロ