見えない森 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

見えない森





暗がりの中
目が覚めると
誰かに覗き込まれていたような気がした
でも
嫌な感じはしなかった
なぜなら
耳元に聞こえる
樹々の揺れる音
葉が擦れあう騒めき
風が其処に在るような
木漏れ日の中で眠っていたかのような
音の重なりがさらさらとして
流れていたからだ
ただ・・・
じっと天井を見ていると
心地よいその音が
すぅっと引いて
元の寂しい静けさだけになるんだ
なんだろう
この虚しさ
なんだろう
この物足りなさ
一緒に・・・
その闇の向こう側に逝きたかった様な
そんな感覚に
思わず胸に手を当てて
動いているのか確かめる私が居た


鹿でもなく
人でもない
不思議で頓珍漢な生き物が
ゆっくりと進んでいる
私の視線は
きっとその変なもののモノだろう
ぬぅっと伸びる樹々の枝をものともせず
苔の敷き詰められた岩場をものともぜず
深い、深い
霧の中
やや煤けた白い毛並みを濡らして
進む
柔らかな春の芽吹きが
朝陽と共に鶯色に染め上げる
まだまだ小さな葉っぱに
目いっぱい水を拾い上げ
零れないようにしている
必死な姿が愛らしい
土くれの匂いが鼻を掠める
温かな日差しに交じり
何処かに隠れている冬の名残が
耳の産毛をくすぐる
振り向いて
伸びた己の大きな影を覗きこみ
頭から生えた見事な角を
感心しきった私が褒めていた
陽が昇るにつれて
辺りは軽やかな黄緑色へと衣を変える
白樺やブナの苔むした木肌も
忙しなく飛び回る河雀の黒い体も
その水溜まりから覗き込めば
どうしてこうも
見事に煌めく色を重ねているのだろうか
大きな変てこな生き物の視界を借りて眺めた世界が
ふと
気が付いて目覚めた
暗がりの天井一面を塗りつぶす
耳の中に焼き付いたざわめきが
在る筈のない森を描き切り
居る筈のない誰かの
優しい眼差しに包まれる
見えない森が
確かに自分を中心に広がって
残酷なまでに
幻となって
消えて往った・・・

あぁ、迎えには
まだ、まだ、来ないか・・・

あまりにも
あまりにも
待ち望んだ世界を目の前に
咥えた指の大きこと
いっそ
一思いに、連れて行ってくれと
叫んでやろうかと
考えて
再び、暗い、暗い闇の中へ
落ちて行った・・・






byキケロ