一色
一色に
塗りつぶされた壁に
無邪気に描かれた
子供たちの世界
悪戯の中に罪の意識はなく
悪戯の中に伝える意志はなく
唯、楽しくて
楽しくて
その小さな背を
一杯に伸ばして
届くところまで伸ばして
描き切ったのだ
一色に
塗りつぶされた世界に
無邪気に描かれた
子供たちの絵が浮かぶ
悪戯に笑うその顔に苦痛に歪む影はなく
悪戯に微笑むその声に無知の幸せが滲みでる
ただ面白く
面白くて
その小さな体より
大きな、大きな声で
その小さな体より
精一杯に手を伸ばして
振っていたのだ
一色に
塗りつぶされた私の心
真っ暗な世界の
真っ黒な紙の真ん中に
誰かが悪戯で描いた
真っ白な鳥のような
雲のようなへんてこなもの
それがなぜか
無性に涙を湧き上がらせて
そう遠くない昔々に
私の胸の中に飛び込んできた
小さな宝物の虚ろに
伏してしまう
あぁ、なんと短い世界なの
あぁ、なんてひどい場所に生んでしまったの・・・
黒一色の中に
幾度も浮かぶ
白い文字は
後悔に満ち満ちて
すっと、混ざることなく
零れては
果てしない暗闇の中へ
消えていった
それが
いつの間にか
早春の星空を
模しているように見えるころ
私は
その星々の中の一つを選び
私の色を重ねて
すっと伸ばした
最後の流れ星の思い出と共に
うっすらと紅を含んだ
一点は
すらりと尾を引いて
まるでどこからか風に乗ってきた
一枚の桜の花びらのようにも
見え
真っ黒な心の中に
楽しかった思い出の一つを
投影し始めたのだった・・・
by死神キケロ