白よりも白く | 梟霊のブログ

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適当に詩をUPします。
評価に、興味なし
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山菜大好き
ハーブ大好き
とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

白よりも白く




人影が消えた
民家の影が
朝日を浴びて伸びていく
まるで寂しそうに歩く老人の後ろ姿のように
どこか
冷たさを帯びていた
私は、思う
幾ら、彩が鮮やかであろうとも
見えない温もりのない壁というものは
生きてはいないのと同じなのだと

歩く
いつしかそれが走ることへ変わり
どこまでも遠くへ飛ぶことへと移る
しかし
そこに流れる暖かなものが在ってこその
意味を成していた
静まり返った草原に
取り残された戦闘機
今か今かと空を夢見て朽ちていく
朝露が
その泣くことのない声と姿を
形作っているように思えた
深く落ちた影が
口惜しそうに
私に凭れ掛かる
でも、ごめんな?
君を、空に上げることはできないんだ

静寂
歩いても歩いても
静寂ばかりが転がっている秋の森
虫たちは
その辺に転がって
眠っているのだろうか
吐く息は
白よりも白く
銀をまぶしたかのようにきらきらと漂う
枝先だけが、天井を支える
その姿は
いつか見た
私の終わりの風景に似ていた
後悔ばかりが枯葉となって空を舞い
どうにもできず
落ちていくのは
世の常なのだろう

黄昏時
居るかいないか判らなかった
町というものを見渡した
全ての影が
大きな流れのように動き
黄金に燃え上がる
ぽつり
ぽつりと空に囁く声が響くころ
あの炎の跡は
光の河を創り出していた
あぁ、私(わ)が故郷よ
時の果てとはいうものの
帰ってきたぞ
帰ってきたぞ
新しく懐かしい
私がふるさとよ
暖かな視線は、もはやなく
知らぬ顔が横切る世界となったが
あの川も
山も
畑も
紛れもない
あの時の思い出のまま残されている
ここは
紛れもない
私の、居場所だ

肌寒い夜の入り
畑焼の煙も寄り添うように漂っている
その白に
徐々に飲み込まれ
朧げに流れる町並みは
どうしようもなく幻想的だった
込み上げてくる熱きもの
頬を抓る風を押しのけて
溢れては零れ
溢れては、零れ落ちた
ぽろぽろと
それはもう・・・
ぽろぽろと

あぁ、私は、帰ってきたのだ
そう
帰ってこれたのだ・・・
この鼓動
動くうちに
涙と共に落ちていった言葉は
若かったあの頃よりも
がさがさで
ほろ苦さよりも
しっかりとした苦みが浮き出た
コーヒーのように
じんわりとしたものを
己の耳に
流し込んでいた






by銀翼のキケロ