この空を、青と呼べただろうか | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
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静かに、生暖かく見守ってください

この空を、青と呼べただろうか






美術館
昼とも、夜とも言えない
ひんやりとした一つの部屋に微笑む
モノクロの彼女は
既に、この世には居ないだろう

同じく
所々の硝子ケースの中に横たわる人々

同じく
諸所において、硝子に隔てられた壁の
そのまた奥で
じっとどこかを見つめ
立ち尽くす子供たち

溜息と共に
足早に外へ出れば
とても、とても
居心地の良い物とは言い難く
襲い来る
真夏の熱波が
まるで焔と悲鳴を
浴びせてくるように思えてしまう
路上にて
ゆらゆらと揺れる
蜃気楼の向こう側で戯れる
子供らと、その母たち
その笑顔が
もしも、幻であったなら
私は
この空を、青と呼べただろうか・・・


ただ一枚の紙切れのように
燃える命は灰となり
思い残す火の粉は
蛍火のように天高く舞う
其処に在る青空を
私は
果たして、青く見ているのだろうか・・・

あぁ、溜息と共に漏れる
このやきもきとした感情は
同情なのか
怒りなのか
悲しみなのか
解らないし、判らないものである
生きていること
其れすらも罪であるような気がして
ギリギリと奥歯を食いしばる次第
しかし
そこに涙はなく
何所へ向けるわけでもない
敵意だけが
蝶のように
美しく舞っているのみであった・・・

もしも、今が戦国であったなら
はたして今この時を座して過ごせていただろうか

もしも、今この時が、戦争の最中であったなら
はたして、今この場所に存在することが出来て居ただろうか

目を閉じて
今一度、見渡せば
どれだけの死骸の原を
気が付かないままに
歩んでいるのだろうか
どれだけの悲鳴の後の静寂を
気にも留めないまま
平和だと言っていたのだろうか
モノクロというものが
灰色一色ではなく
その濃淡において
焼き付けた、時の跡
もしも、この事象が運命というならば
まさしく
今の私は
夥しい人間の死体が浮かぶ何かの上を
運ばれてきたに違いない

あぁ、あの空は灰色だった
あぁ、この空は青であった
だが今は
赤く
紅く
朱く染まり
ジリジリとこの身も心も
黒く焦がす焔に染まっている
ゆらゆらと涙を流す
その太陽を浮かべて・・・







by銀翼のキケロ