明暗 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

明暗




誰もいなくなった
夜の音楽室
足音と吐息だけが
波紋を描き
微かに差し込む
月明かりが
辛うじて影を伸ばす
誰のためでもない
空っぽのままに引き始めた
僕の腕
僕の身体の動きを
歪に
床に映し出す
あぁ、どうしてだろう
自分で引いているはずなのに
ずっと
ずっとずっと後ろの席から
聞いているような
違和感
どんなに強く弾こうと
どこまでも逃げていく

苛ついているわけじゃない・・・
悲しんでいるわけでもない・・・
嬉しいわけでもない
楽しいわけでもない
ただ、空っぽのまま
弾き続けた
青白い光の渦
艶やかなピアノを浮かび上がらせた
なのにどうして
僕だけは暗く沈んだまま
蠢いている
何が違う
何が異なっている
君と僕
無機物と有機物
触れていなければ
ただのものどうし
価値の欠片もない
ものどうし
触れ合って溶け合って
重なり合って
響き合って
伝えるもの同士
なのに
どこでその明暗が分かれてしまったのだろう
あぁ・・・
どこまでも引き続けた
答えが出るまで
いつまでも引き続けた
答えが伝わるまで
この指先が
いつか必ず
誰かの心に触れるその時が
訪れるまで
僕は、引き続けたんだ

不協和音を奏で始めた
この両の手は
不自由で仕方がない
憧れ続けた場所には
行きつくことなく
独りと一つは
何十年という月日を重ねた
結局・・・
大勢の心に触れることなく
人生を終えようとしている
だが、誰もいなかった
誰もいなくなった学校の
音楽室には
唯独り君が座り
微笑みながら頷いて聞いてくれる
あぁ、なんという幸せ
なんという贅沢
名は、響かずとも
想いは、届いた
それだけで
今は、満足だ



by銀翼のキケロ